研究領域 | 行動変容を創発する脳ダイナミクスの解読と操作が拓く多元生物学 |
研究課題/領域番号 |
22H05157
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅲ)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
井上 謙一 京都大学, ヒト行動進化研究センター, 助教 (90455395)
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研究分担者 |
松本 惇平 富山大学, 学術研究部医学系, 助教 (00635287)
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研究期間 (年度) |
2022-06-16 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
92,950千円 (直接経費: 71,500千円、間接経費: 21,450千円)
2024年度: 14,430千円 (直接経費: 11,100千円、間接経費: 3,330千円)
2023年度: 20,280千円 (直接経費: 15,600千円、間接経費: 4,680千円)
2022年度: 30,030千円 (直接経費: 23,100千円、間接経費: 6,930千円)
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キーワード | 霊長類 / ウイルスベクター / トレーシング / 行動解析 / 社会行動 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、多重蛍光トレーシング法や、脳活動操作法・全脳的遺伝子導入法などのネットワーク解析法とマルチモーダル行動解析法を駆使し、霊長類における行動変容、特に社会行動変容に関わる神経ネットワーク回路構造とその機能を解明することを目的とする。具体的には、双方向性多重蛍光トレーシングとAIや空間統計を利用した解析により、霊長類を中心に、大脳皮質と皮質下領域や小脳を巡る広域ネットワーク構造について、その回路構築様式を明らかにする。また、AIを利用して自然行動から社会行動変容を検出・評価する行動解析システムを開発し、ネットワーク状態変化と社会行動変容との関係性を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究では、多重蛍光トレーシング法や、脳活動操作法・全脳的遺伝子導入法などのネットワーク解析法とマルチモーダル行動解析法を駆使し、霊長類における行動変容、特に社会行動変容に関わる神経ネットワーク回路構造とその機能を解明することを目的とする。 行動変容を実現する広域ネットワーク構造解析では、複数種の感染速度低下・高発現型RVベクターを新規に作成し、in vitroおよびin vivoでの検証実験によって、Tet-Off法を利用した超高発現型AAVベクターによる軸索トレーシングとの同時適用に適したベクターを選定し、実用性の高い双方向性多重蛍光トレーシングに適した組み合わせを決定した。また、スライドの自動多重蛍光撮像とAIを利用したニューロンラベルの自動検出法によるラベル解析の高速化を実施した。 マルチモーダル行動解析法による社会行動変容の神経メカニズム解析では、8台同期カメラによる複数頭の3Dモーションキャプチャを高精度で行なうアルゴリズムをマカクサルおよびマーモセットにおいて開発し、同システムが様々な社会行動の自動検出と個体の運動・社会行動特性の抽出を実現すること、および病態解析に利用可能であることを実証した。この結果をマカクサル・マーモセットそれぞれで論文として投稿した。また、グループケージにおける音源定位に着手した。さらに、マカクサル統合失調症モデルおよびマーモセット自閉症モデルを作出し、その社会行動解析を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書の研究の目的および実施計画欄に記載した計画がおおむね順調に進展している。行動変容を実現する広域ネットワーク構造解析においては、実用性の高い双方向性多重蛍光トレーシングに適した、感染速度低下・高発現型RVベクターと超高発現型AAVベクターの組み合わせを決定した。また、8台同期カメラによる複数頭の3Dモーションキャプチャを高精度で行なうアルゴリズムをマカクサルおよびマーモセットにおいて確立し、同システムが社会行動解析や病態解析に利用出来ることを示した結果を論文として投稿した。同行動解析システムのマルチモーダル化や疾患モデル解析への応用も順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
研究はおおむね順調に進展していると考えられるため、今後も当初予定に従って研究を進める。行動変容を実現する広域ネットワーク構造解析では、前年度組み合わせを決定した感染速度低下・高発現型RVベクターTet-Off法を利用した超高発現型AAVベクターによる双方向性多重蛍光トレーシングを前部帯状回の3領域などに適用し、これらの皮質領域と大脳基底核との神経連絡を中心とした大域回路解析を実施する。具体的には、前年度に引き続きAIを利用したニューロンラベルの自動検出法を開発して適用し、空間統計を用いたラベルパターン分析を利用することで、同皮質を含む大脳基底核ループにおける入出力の局在関係を明らかにし、その情報統合パターンを解明する。また、ラベル座標データの標準脳への投影を行う事により、複数頭のデータを統合して解析するための標準化法の開発を実施する。 マルチモーダル行動解析法による社会行動変容の神経メカニズム解析では、前年度に引き続き自由行動下のサルの動作・視線などを高精度で推定するマルチモーダル行動解析法の開発を進める。昨年度開発したモーション解析系をより精密かつ頑健なものに向上させるとともに、マルチ音声計測系を組み合わせることで、自然行動のマルチモーダル計測系を開発する。また、表情解析系の開発も行う。開発したマルチモーダル計測系を利用して、疾患モデルの行動解析を進める。
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