研究領域 | 行動変容を創発する脳ダイナミクスの解読と操作が拓く多元生物学 |
研究課題/領域番号 |
22H05161
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅲ)
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
喜多村 和郎 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (60423159)
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研究分担者 |
山崎 匡 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (40392162)
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研究期間 (年度) |
2022-06-16 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
132,860千円 (直接経費: 102,200千円、間接経費: 30,660千円)
2024年度: 27,950千円 (直接経費: 21,500千円、間接経費: 6,450千円)
2023年度: 24,310千円 (直接経費: 18,700千円、間接経費: 5,610千円)
2022年度: 24,050千円 (直接経費: 18,500千円、間接経費: 5,550千円)
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キーワード | 神経科学 / 小脳 / 大脳 / 運動制御 / イメージング |
研究開始時の研究の概要 |
行動には必ず運動が伴い、行動変容は最終的には運動変化として表出される。本研究では、運動の制御や学習に必須な小脳に着目し、その多様な情報表現と行動変容の関係を解明する。マウスが行動変容課題を実行中に、顔面運動や全身運動をモニターして課題の学習と相関して変容する特徴的な低次元行動を抽出する。それと同時に、小脳および大脳のネットワーク活動をイメージングし、大脳-小脳連関と行動変容の関係を明らかにする。行動変容の情報表現を細胞レベルで明らかにする。実験データをもとに、スーパーコンピュータによる大規模神経回路シミュレーションを行う。これらを統合し、行動変容の表出を担う運動回路動態の全貌を解明する。
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研究実績の概要 |
前年度に引き続いて、誤差に基づく小脳依存学習を調べた。マウスがキュー音に対してリッキングを行う行動課題を実行中に、マウスの運動を解析するとともに、課題実行中の小脳プルキンエ細胞の活動を2光子カルシウムイメージングにより解析した。リッキング運動中に、ノズルの位置を変化させることで感覚予測誤差を生じさせると顕著に登上線維応答を示すプルキンエ細胞が確認された。この反応は、試行の繰り返しによりリッキング運動が新しいノズル位置に適応するに従って減少することがわかり、感覚予測誤差を表していると考えられた。また、報酬や報酬予測誤差に相当すると思われる反応を示す細胞も確認された。今後はこれらの細胞の応答を詳細に解析することで、外部環境の変化に適応するメカニズムを明らかにする。 マクロ顕微鏡を用いた広域活動イメージングにより、前肢到達把持運動中のマウス小脳プルキンエ細胞活動のイメージングを行った。その結果、前肢の運動開始前後や把持の成功失敗など様々なタイミングで活動する細胞を同定することに成功した。今後は実験データを蓄積し、プルキンエ細胞集団による行動符号化について明らかにする。 マウス行動変容を再現・予測するための脳身体シミュレーションプラットフォームの構築を行った。脳モデルとして大脳皮質・基底核・小脳 ・視床からなるスパイキングネットワークモデル、身体モデルとして前肢によるレバー操作が可能なマウスの筋骨格系モデルを導入した。脳モデル-身体モデルを相互に接続した閉ループのシミュレーションをスパコン「富岳」と研究室のPC 2台、合計3台のコンピュータに分散させて実施し、小脳のゲイン学習による神経活動の変化の過程をシミュレートすることに成功した。その成果を国際共著論文(Front. Neurorobotics 2023)として出版した。今後は実際の行動変容のシミュレーションに利用していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
確立した行動変容課題を実行中のマウス小脳において、2光子カルシウムイメージング、マクロカルシウムイメージングにより行動適応に必要な活動の解析が順調に進んでいる。行動変容の大規模脳‐身体シミュレーション・プラットフォーム構築も計画通り順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
概ね順調に進展しているため、引き続き計画通り実験とシミュレーションを進めていく。
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