研究領域 | 行動変容を創発する脳ダイナミクスの解読と操作が拓く多元生物学 |
研究課題/領域番号 |
22H05163
|
研究種目 |
学術変革領域研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅲ)
|
研究機関 | 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(機構直轄研究施設) |
研究代表者 |
中江 健 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(機構直轄研究施設), 生命創成探究センター, 特任准教授 (70617472)
|
研究分担者 |
篠本 滋 株式会社国際電気通信基礎技術研究所, 脳情報通信総合研究所, 研究員 (60187383)
東 広志 大阪大学, 大学院工学研究科, 准教授 (70734474)
Hwang Jaepyung 京都大学, 情報学研究科, 特定助教 (70893931)
|
研究期間 (年度) |
2022-06-16 – 2027-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
84,240千円 (直接経費: 64,800千円、間接経費: 19,440千円)
2024年度: 18,070千円 (直接経費: 13,900千円、間接経費: 4,170千円)
2023年度: 17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2022年度: 11,960千円 (直接経費: 9,200千円、間接経費: 2,760千円)
|
キーワード | 行動変容 / 脳活動 / 3Dモデル / 表情解析 / マーモセット / マウス / 行動解析 / 神経データ解析 / 動画データ解析 |
研究開始時の研究の概要 |
行動変容を創発する原理を解明するため、領域内で共通して計測される身体情報の標準化を行い、広域・局所脳動態計測によって脳-身体-行動連関を抽出する手法を開発する。行動変容に関わる身体情報はカメラ画像を用いて計測されるが、個体や課題ごとに異なり比較のためにその標準化が必要である。本研究では行動変容に関わる複数のタスクにおいて、個体内あるいは個体間で共通する身体情報の標準化を3Dマッピング技術により行い、それを駆動する脳回路動態の抽出を行い、それらの関係性を潜在空間での座標の変化として捉え行動変容を定量評価する。これにより、心的状態が駆動する脳-身体-行動機能連関である行動変容の基盤を明らかにする。
|
研究実績の概要 |
本年度は、身体情報計測のためのカメラ位置と特徴点の標準化に取り組んだ。松崎班の頭部固定マウスを対象に、身体情報の共通パラメータを抽出するためのカメラの位置や台数を設定した。その結果、2台の外部カメラを用いて、マウスの顔の側面と下側から撮影される動画データに対して、キーポイントの標準化を行うことができた。この標準化では、DeepLabCutというツールを使って、指や口といった代表的なマーカーを複数の個体で同定し、共通の座標系で身体情報を抽出できるようにした。これにより、個体間での身体情報の比較や統合がしやすくなった。また、身体データの3D化についても研究を進め、マウスの特徴点と3Dモデルの特徴点を合わせる技術を開発した。これにより、マウスの身体の標準化とマッピングが可能になった。この技術は、マウスの身体構造や動作の詳細な分析に役立つと考えられる。さらに、マーモセットの3Dモデルについても新たに開発を行い、CT Scanのデータから新しい3Dマーモセットモデルを構築した。このモデルは、マーモセットの身体構造や機能の理解に役立つツールとなりうる。ヒトを対象とした研究では、脳波と行動データの同時取得を進め、複数次元が関連するタスクにおいて、ベイズ的な逐次更新に基づく計算モデルとヒトの脳の活動が相関していることを示し、論文として発表した。この知見は、ヒトの脳機能とその計算原理の理解に新たな視点を提供するものである。本年度の研究では、身体情報計測のための技術開発とデータ解析、そしてヒトの脳機能研究において、一定の進展が見られた。これらの成果は、生物の身体構造や機能、そして脳の情報処理メカニズムの解明に向けた重要なステップになると考えられる。今後も研究を継続し、さらなる知見の獲得と技術の発展を目指していきたい。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
脳と行動解析を担当する研究協力者が退職したが、あらたな研究員を雇用することができたため、結果として概ね順調に進捗している。
|
今後の研究の推進方策 |
研究課題については、当初計画の通りに引き続き推進をしていく。また、最近の生成AIの成果を利用することより、3Dモデルから2Dの自然な画像の生成に成功した。そのため、生成AIの成果を利用することで、身体のアノテーションを加速させる方向に研究を進める予定である。また、中間評価に向けて今後はこれまでの成果を取りまとめる形で、論文投稿を行う。
|