研究領域 | 力が制御する生体秩序の創発 |
研究課題/領域番号 |
22H05167
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅲ)
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
近藤 武史 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, チームリーダー (60565084)
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研究分担者 |
WANG YUCHIUN 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, チームリーダー (80725995)
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研究期間 (年度) |
2022-06-16 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
171,340千円 (直接経費: 131,800千円、間接経費: 39,540千円)
2024年度: 32,370千円 (直接経費: 24,900千円、間接経費: 7,470千円)
2023年度: 31,590千円 (直接経費: 24,300千円、間接経費: 7,290千円)
2022年度: 41,210千円 (直接経費: 31,700千円、間接経費: 9,510千円)
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キーワード | 上皮形態形成 / 遺伝子発現 / 空間トランスクリプトーム / 力学計測 / ショウジョウバエ / 胚発生 / 空間トランスクリプトミクス / 光遺伝学 / 形態形成 / 原腸陥入 |
研究開始時の研究の概要 |
生体の形態形成において、遺伝子発現が組織スケールにおける力作用の不均一パターンを生み出すプログラムや、力による組織変形と細胞運命のカップリング機構には未だ不明な点が多い。本研究はショウジョウバエ原腸胚をモデルとし、in situシーケンス法による空間トランスクリプトーム解析や力学計測、光遺伝学的手法による力と組織変形の操作技術を駆使してゲノム-メカノクロストークの機構を解明し、胚発生における力・形と運命の秩序化の普遍的メカニズムを導出する。
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研究実績の概要 |
本年度は主に、本研究の遂行に必要な空間トランスクリプトーム解析技術の確立を進めた。ショウジョウバエ胚のホールマウント解析技術を確立することを目指しているが、実験条件の詳細な検討を進めるために、本年度はまずショウジョウバエ培養細胞を用いて実験系の構築を行った。既報の手法であるRolling Circle Amplificationを基盤としたHybISS法と、single-molecule FISHを基盤としたseqFISH法の導入と検討を進め、両手法ともに安定してシグナルを検出できることを確認するとともに、両手法の差異(メリット・デメリット)に関する知見を蓄積した。また、すでに取得済みの1細胞RNA-seqデータの解析により、胚領域ごとに発現量の異なる遺伝子からメカノアクチュエーター候補遺伝子を抽出した。今後、形態形成制御におけるそれらの機能解析を進める。 並行して、ショウジョウバエ胚の力学空間パターンマップの構築のための細胞・組織の力学的特性の定量的計測を進めている。これまでに、蛍光マイクロビーズの胚への微量注入とその動態の定量解析により、細胞化前のショウジョウバエ胞胚期において脂質滴が極性を持って輸送され、それにより胚内部の剛性が増すことが明らかになった。また、光遺伝学手法により原腸期に見られるCephalic furrowの形成を両側同時に阻害することに成功し、その結果として腹側正中線にねじれが生じること、さらに発生後期におけるHead involution運動にも影響が出ることも明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
空間トランスクリプトーム手法の導入は順調に進展し、予定しているショウジョウバエ胚のホールマウント解析を問題なく進められる体制を整えられた。また、蛍光マイクロビーズによる物性計測の実験系の確立も順調に進んでいる。さらに、光遺伝学手法による精度の高い局所的な形態形成阻害にも成功し、これらの技術を用いてすでに興味深い結果が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、本研究の遂行に必要な空間トランスクリプトーム解析技術と、力学空間パターンマップの構築のための細胞・組織の力学的特性の定量的計測技術の確立を中心に進める。HybISS法およびseqFISH+法のショウジョウバエ胚ホールマウント解析への適用を進め、50-100遺伝子程度の同時解析の達成を目指す。また、形態形成を介した力学的刺激による遺伝子発現・細胞分化パターン制御の仕組みを明らかにすることを目的として、光遺伝学による胚全体レベルでの形態形成の人為的操作手法を確立し、形態形成の摂動による細胞分化への影響を1細胞RNA-seqや空間トランスクリプトーム解析技術を用いて調べる。 細胞・組織の力学的特性の定量的計測技術については、磁気油滴を用いた物性の計測手法の構築も並行して進めており、蛍光マイクロビーズや遺伝子的にコードされたマイクロパーティクル(GEMプローブ)を含む複数の手法によるショウジョウバエ初期胚の組織粘弾性の計測を進める。さらに、1細胞RNA-seqデータから抽出したメカノアクチュエーター候補遺伝子の機能解析を進め、形態形成制御におけるその役割を明らかにしていく。
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