研究領域 | 植物の挑戦的な繁殖適応戦略を駆動する両性花とその可塑性を支えるゲノム動態 |
研究課題/領域番号 |
22H05177
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅲ)
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
榊原 恵子 立教大学, 理学部, 教授 (90590000)
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研究分担者 |
小藤 累美子 金沢大学, 生命理工学系, 助教 (40324066)
小田原 瑛美子 (養老瑛美子) 立教大学, 理学部, 助教 (40802054)
西山 智明 金沢大学, 疾患モデル総合研究センター, 助教 (50390688)
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研究期間 (年度) |
2022-06-16 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
99,970千円 (直接経費: 76,900千円、間接経費: 23,070千円)
2025年度: 17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2024年度: 17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2023年度: 18,850千円 (直接経費: 14,500千円、間接経費: 4,350千円)
2022年度: 28,470千円 (直接経費: 21,900千円、間接経費: 6,570千円)
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キーワード | 両性花 / 性決定 / 転写因子 / 半数体 / コケ植物 / ゲノム / 雌雄同株 / cis-trans変化 |
研究開始時の研究の概要 |
コケ植物は頻繁に両性 (雌雄同株)/単性 (雌雄異株)の切換えを繰り返してきた。本研究ではコケ植物において、①常染色体上の非性決定遺伝子が性決定遺伝子へと転じるゲノム構造変化の解明、②同属内の両性種-単性種間の全ゲノム比較、③両性種を用いた単性変異体のスクリーニングと機能解析により両性が単性に転じる仕組みを解明する。さらに、複数のコケ植物で実現した可変的な両性/単性の切換えを明らかにすることで、コケ植物との共通推定祖先ですでに実現していた両性花成立の起源と、被子植物における両性花成立過程との関連性を明らかにする。
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研究実績の概要 |
私たちは雌雄同株のコケ植物ヒメツリガネゴケの常染色体上にコードされる性決定因子を同定した。この性決定因子は転写調節因子をコードしており、その変異株は雄の生殖器官のみを形成するようになり、単性化する。この変異株と誘導的過剰発現株の比較RNA-seq解析により、雌雄の分化に関わる遺伝子候補を見出した。この変異体の表現型は、雌雄異株のコケ植物であるゼニゴケおよびコマチゴケの相同遺伝子の導入によって一部相補され、転写因子としての保存性が確認された。 ゲノム情報を報告済みの雌雄同株のナガサキツノゴケと同じ属に含まれる雌雄異株のホウライツノゴケの雌雄両株を入手し、無菌培養と実験環境下での生殖器官誘導に成功した。一方、雌雄同株のナガサキツノゴケの無菌培養株は培養条件によって性表現が異なることが見出され、雌雄同株のツノゴケの性表現が環境条件の影響を受けることが示唆された。一方、雌雄同株のヒメツリガネゴケにおいて、UV照射により誘導した約11万株の中から受精に関連する可能性のある変異株、及び性決定に異常を示す変異株を複数株取得した。性決定に異常を示す変異株の一部は上記の性決定因子がであることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究協力者の広島大学・嶋村正樹博士の協力により、ホウライツノゴケの雌雄株を入手した。また、これらの株を用いての生殖器官誘導に成功した。
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今後の研究の推進方策 |
ヒメツリガネゴケ性決定因子変異株の単性化表現型は雌雄異株のコケ植物であるゼニゴケ及びコマチゴケの相同遺伝子の導入により、表現型が一部回復した。今後、回復に必要な領域の同定を進める。また、ヒメツリガネゴケ性決定因子の相同遺伝子はストレプト藻類にも存在する。これらの遺伝子の導入により、ヒメツリガネゴケ性決定因子変異株の単性化表現型が相補できるかを検証する。 ヒメツリガネゴケ性決定因子の上流因子の探索のため、性決定因子のプロモーター配列の特定を行う。その上で、プロモーター配列にゲノム編集により変異を導入することで、上流因子の制御領域、及び制御領域に結合するトランス因子を特定する予定である。 単性種ホウライツノゴケの雌雄両株の入手と生殖器官誘導に成功したので、今後、交配を進め、次世代の個体を得た上で、親株とF1株を用いてゲノム解読及び性に関連したゲノム領域の特定を進める予定である。また、単性タイ類であるコマチゴケの雌雄株を入手しており、これらのゲノムUV照射により、両性種ヒメツリガネゴケによる約11万株の中から受精に関連する可能性のある変異株を複数株取得しており、次年度はこれらの変異体の原因遺伝子の特定手法を確立し、原因遺伝子の特定を進める予定である。
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