研究領域 | 光の極限性能を生かすフォトニックコンピューティングの創成 |
研究課題/領域番号 |
22H05198
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅳ)
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
砂田 哲 金沢大学, 機械工学系, 教授 (10463704)
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研究分担者 |
犬伏 正信 東京理科大学, 理学部第一部応用数学科, 准教授 (20821698)
丸山 武男 金沢大学, 電子情報通信学系, 准教授 (60345379)
原山 卓久 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (70247229)
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研究期間 (年度) |
2022-06-16 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
177,450千円 (直接経費: 136,500千円、間接経費: 40,950千円)
2024年度: 31,070千円 (直接経費: 23,900千円、間接経費: 7,170千円)
2023年度: 35,490千円 (直接経費: 27,300千円、間接経費: 8,190千円)
2022年度: 48,100千円 (直接経費: 37,000千円、間接経費: 11,100千円)
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キーワード | 光コンピューティング / 光リザバーコンピューティング / 光ニューラルネットワーク / マシンビジョン / リザバーコンピューティング / フォトニックコンピューティング / シングルピクセルイメージング / スペックル / 物理深層学習 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、マイクロ・ナノフォトニクス技術によ る光制御と光通信分野で培われた2つの多重化技術(空間多重化・波長多重化)を組み合わせ、並列分散的にニューラルネット(NN)的処理を可能にする新奇の光デバイスを開発する。そして、その並列分散処理性と最適制御を用いて、微小領域でこれまでにない超大規模かつ高度なリザバーコンピューテ ィング(再帰型NN計算の一種)が可能となることを示す。さらに、光リザバー回路チップを用いて、従来技術では達成困難なサブナノ秒の高速現象のイメージを認識可能な超高速認識技術への応用展開を検討する。
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研究実績の概要 |
本研究では、マイクロ・ナノフォトニクス技術による光制御と光多重化技術を組み合わせてスケーラブルな光ニューラルネットワーク的な処理を可能にするシステムの開発を目指している。本年度の成果の1つは、空間次元を有する半導体レーザーと空間位相変調器およびランダムパターン投影技術を組み合わせた大規模光ニューラルネットによる高速イメージ処理技術を開発したことである。本研究で用いたレーザーは非対称性の共振器構造を有しており、波動カオス的なレーザー発振状態を形成可能である。これによりレーザーの非線形性と空間的な高次元性を情報処理に利用可能となるため、従来の線形型の光ニューラルネットと異なり、非線形性の導入に光電変換を必要としない。本提案のシステムを用いて、外部ディスプレイに表示したイメージを10%程度に圧縮してナノ秒オーダーの時間で認識処理が可能となることを示した。このシステムでは、昨年度に開発した線形型のニューラルネットよりも高い圧縮率で高速かつ高精度に認識が可能となった。さらに、本システムを用いて、圧縮したイメージ情報の復元に挑戦した。2段階のU-NET型のニューラルネットワークによる復元モデルを構築して、10%程度の圧縮率の情報からイメージを復元できることを明らかにした。次に、波長多重化による更なる高速化についても検討した。異なる波長の光で独立したランダムパターンを生成し、それらを対象物体に照射することで、より短時間でのイメージ認識が可能となる結果を得た。4波長の光を用いた場合は、1波長の場合に比べて2倍程度の短縮が可能であった。なお、以上の研究では、光ニューラルネットからの出力をオフラインで処理していたが、今後、その出力も光のままで処理できるように、プログラマブル光回路をデザインした。まだ基礎特性の評価中であるが、良好な結果を得ている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度は、当初の予定に従い、光ニューラルネットワークの改良およびマシンビジョン応用を想定した検証実験に取り組み、良好な結果を得ている。また、光チップ上のオンライン学習に向けて良好な予備結果も得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
次の3点の研究を主に推進する予定である。(1) オンライン学習を可能とする光リザバー計算回路を作製し、さまざまな時系列データ処理に応用する。位相変調器アレイをシリコンチップ上に実装することで、リザバ-出力をプログラマブルに制御できるようにする。またオンチップ上での学習を可能とするような学習アルゴリズムも開発する。(2) 本年度の成果をベースに、イメージ復元の精度向上を目指す。ランダムプロジェクションシステムの波長多重化・空間多重化の方法を取り入れ、また復元用アルゴリズムの改良を行う。(3)光波動の高次元性を積極的に利用するコンピューティング方法により、シンプルな演算を用いて少ないデータ数で学習が可能となる手法を開発する。
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