研究領域 | 光の極限性能を生かすフォトニックコンピューティングの創成 |
研究課題/領域番号 |
22H05199
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅳ)
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研究機関 | 国立研究開発法人情報通信研究機構 |
研究代表者 |
笠松 章史 国立研究開発法人情報通信研究機構, 未来ICT研究所小金井フロンティア研究センター, 研究センター長 (30296884)
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研究分担者 |
原 紳介 国立研究開発法人情報通信研究機構, 未来ICT研究所小金井フロンティア研究センター, 主任研究員 (30434038)
関根 かをり 明治大学, 理工学部, 専任教授 (40282834)
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研究期間 (年度) |
2022-06-16 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
182,520千円 (直接経費: 140,400千円、間接経費: 42,120千円)
2024年度: 36,140千円 (直接経費: 27,800千円、間接経費: 8,340千円)
2023年度: 35,490千円 (直接経費: 27,300千円、間接経費: 8,190千円)
2022年度: 48,100千円 (直接経費: 37,000千円、間接経費: 11,100千円)
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キーワード | 集積回路 / 高速アナログ回路 / 光電融合 / アナログ / 光カオス / バンディット問題 |
研究開始時の研究の概要 |
フォトニクス系のシステムはレーザーの高速駆動や広帯域性を活用した超高速の機能実現を可能とし、光カオスでの光の高帯域性の極限性能を活かし毎秒1000億個に達する高速意思決定の基本性能が示されるなどしている。一方、現在の情報処理の多くを担っているマイクロプロセッサ等は集積電子デバイス技術を中心としたエレクトロニクスを基礎としているが、フォトニクスとエレクトロニクスのインターフェースや連携については充分に研究開発が進んでいるとはいえない。本研究では、高速アナログ信号処理技術を展開し、フォトニクスとエレクトロニクスをボトルネックなく接合する革新的新技術の開発を目指す。
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研究実績の概要 |
研究環境および設備の整備について、電子回路の設計環境を整備するとともに、測定評価のための装置・システムの整備を進めた。電子デバイスと光デバイスを融合したシステムの測定評価のための備品としてフォトレシーバ・ディテクタ、光トランスミッターモジュール等を導入した。本研究で開発する高速でアナログ的な動作をする電子回路等の測定評価のため、測定に用いるオシロスコープや、集積回路測定用のポジショナ、プローブ、測定環境温度調整機能等の整備を実施した。 研究開発においては、光カオス時系列に対応するためのシリコンアナログ集積回路を試作し、基本動作を確認した。光カオス信号を可変の閾値と比較し、閾値より上か下かを判定する機能は、光を用いたバンディット問題解決や意思決定の基盤となる回路だが、このような光カオス信号を直接に取り扱うことができるシリコン回路は従来存在していなかった。我々は、閾値回路及び増幅回路を独自に設計し、TSMC社の集積回路試作サービスを用いてチップ試作を行い基本動作の確認に成功した。 アナログ電子回路シミュレーションと光カオスを用いたバンディット問題ソルバのシステムシミュレーションを融合して解析できるシミュレーション環境を構築し、光電融合システムをトータルで検証できる環境を整えた。これを活用し、フィルタを用いた学習速度の向上や、高速同期型比較器の誤り率の推定と超高速強化学習システムに及ぼす影響について、解析と考察をおこない、有用な知見を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究環境整備、初期的な集積回路の試作とその基本動作の検証、および光電融合システムをトータルで検証できる環境の整備については、当初計画の見込みに従って進めることができている。 フォトニクスとエレクトロニクスを物理的に集積する光電融合集積回路については、製造技術の選択やインターフェース開発に様々な課題があることがわかり、当初計画よりは時間がかかる見込みとなっている。
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今後の研究の推進方策 |
光カオスを用いたバンディット問題ソルバ―システムについては、これまでに得られた成果を更に活用し、これまで電子回路を実装できていなかった部分について回路化を進め、システム全体として電子回路として実現して検証していくことを目指す。 バンディット問題以外の応用や光電融合の分野として、2つの展開を計画している。一つは、フォトニクスを利用したリザバーネットワーク(光リザバー)に係る信号処理系に、高速アナログ電子回路を適用する検討を行う計画である。2つ目は、光カオスを用いた高速乱数生成を高性能化するための電子回路処理系についても検討を進める。 光電融合集積回路について、シリコンフォトニクスによる光回路と、フォトディテクタやトランジスタ等が集積できる製造サービスをサーベイし、われわれの目的に合致するかどうかなど確認しながら試作を検討していく。
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