研究領域 | マクロ沿岸海洋学:陸域から外洋におよぶ物質動態の統合的シミュレーション |
研究課題/領域番号 |
22H05204
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅳ)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
松村 義正 東京大学, 大気海洋研究所, 助教 (70631399)
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研究分担者 |
干場 康博 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(地球表層システム研究センター), 特任研究員 (00774093)
田中 潔 東京大学, 大気海洋研究所, 准教授 (20345060)
黒木 聖夫 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 付加価値情報創生部門(地球情報科学技術センター), 准研究副主任 (40512843)
中村 知裕 北海道大学, 低温科学研究所, 講師 (60400008)
古市 尚基 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産技術研究所(神栖), 主任研究員 (70588243)
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研究期間 (年度) |
2022-06-16 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
82,810千円 (直接経費: 63,700千円、間接経費: 19,110千円)
2024年度: 16,250千円 (直接経費: 12,500千円、間接経費: 3,750千円)
2023年度: 14,560千円 (直接経費: 11,200千円、間接経費: 3,360千円)
2022年度: 10,790千円 (直接経費: 8,300千円、間接経費: 2,490千円)
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キーワード | 粒子追跡モデル / 非静力学海洋モデル / 海洋低次生態系モデル / 微細構造 / 河川影響海域 / 数値海洋モデル / 粒子追跡法 / 海洋低次生態系 / 物質輸送 / 非静力学数値海洋モデル / 粒子追跡 / 海底境界層 / 海底湧水 / 懸濁粒子 / 海洋生態系 |
研究開始時の研究の概要 |
非静力学海洋モデルに適合格子細分化を実装し、様々な微小スケール素過程を包括的に扱うことを可能とする先駆的なマルチスケール海洋モデリングシステムを構築する。 これを日本沿岸全域に適用し、他の計画研究班によって定量化された陸水・陸起源物質と外洋側境界条件を与えて駆動することで、陸域-外洋域間の双方向の物質輸送・拡散・消費・変質過程の全貌を網羅的にシミュレートする。 陸水流入に同調して投入した多数の粒子群を追跡し、その軌跡と経験環境履歴を解析することで、陸域を起源とする栄養物質がいつ・どこで・どれだけ生物生産に消費さたか、消費されなかったものはどこにいくのかの全体像を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本課題は日本近海統合モデリングシステムの構築並びに既往モデルで表現されない沿岸微小スケールプロセスに関するモデリング研究の2つを目的としている。 システム開発においては、多重ネスティング手法により日本近海全域を1/180°(約500m) の格子間隔で覆う高解像度数値海洋モデルを実用化し、運用を開始した。これによる2013年度分の表層高解像度流動場を用いて網羅的な粒子追跡実験を実施し、河川水や溶存・浮遊物質の移流と拡散・希釈過程をラグランジュ的に追跡することが可能となっている。今後は順次積分期間を延長し、本学術変革領域・連携課題による現場船舶観測等との比較検証を実施予定である。 微小スケールプロセスモデリングについては、本課題代表者・分担者がそれぞれ参画する研究課題との連携により、風成乱流による海面プラスチック粒子の分散過程・海峡を通過する潮汐流作がり出す渦対・潮汐による海底境界層内の浮遊堆積物輸送・躍層下から海洋に流入する淡水による浮力が駆動する湾内循環とその生態系応答等について、非静力学モデルによる高解像度シミュレーション研究を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
モデリングシステム開発については、多重ネストによる日本近海1/180度解像度モデルを実用化し、運用を開始した。本年度は海氷コンポーネントに起因する発散が発生して2013年度のみの積分に留まったが、解決の目途はたっている。高解像度流動場を用いた網羅的な粒子追跡に関してもプログラムコードやポストプロセスによる粒子データ抽出システムは完成しており、粒子群の包絡線を用いた非等方拡散過程の定量化などについて研究成果が出つつある。 領域全体の課題である日本近海の生物生産を支える栄養物質の起源の同定にむけて、低次生態系の栄養塩を起源別に複数に分割し、それぞれ単体での収支を扱えるようにする改良が完了し、既に実研究に用いられている。 個々の微小スケールプロセスに関しても参画者それぞれが他の研究課題等と連携しつつ順調に進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
日本近海 1/180度解像度モデルに本領域計画研究C01から提供される高解像度の陸水流入データセットを導入し、期間を順次延長して積分を進める。得られる高解像度流動場をもとに、本年度までに開発した網羅的粒子追跡と栄養塩起源を識別可能な低次生態系モデルを駆動し、日本近海での生物生産を支える栄養物質の由来について検証する。 1/180度モデルでは解像できない混合・希釈過程や流動場や潮汐と地形の相互作用・波浪の影響等については引き続き個々のプロセスモデリング研究をすすめつつ、それらから得られる知見をパラメタ化等の手法により日本近海モデル導入していく。 さらに、1/180度モデル結果を側面境界条件として沿岸域をより高い解像度で表現する非静力学ダウンスケールの開発を継続し、マルチスケール統合モデリングシステムの実現を目指す。
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