研究領域 | マクロ沿岸海洋学:陸域から外洋におよぶ物質動態の統合的シミュレーション |
研究課題/領域番号 |
22H05206
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅳ)
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
郭 新宇 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 教授 (10322273)
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研究分担者 |
遠藤 貴洋 九州大学, 応用力学研究所, 准教授 (10422362)
張 勁 富山大学, 学術研究部理学系, 教授 (20301822)
吉江 直樹 愛媛大学, 先端研究・学術推進機構先端研究高度支援室, 准教授 (50374640)
小針 統 鹿児島大学, 農水産獣医学域水産学系, 教授 (60336328)
仁科 文子 鹿児島大学, 農水産獣医学域水産学系, 助教 (80311885)
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研究期間 (年度) |
2022-06-16 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
132,860千円 (直接経費: 102,200千円、間接経費: 30,660千円)
2024年度: 20,150千円 (直接経費: 15,500千円、間接経費: 4,650千円)
2023年度: 16,120千円 (直接経費: 12,400千円、間接経費: 3,720千円)
2022年度: 58,890千円 (直接経費: 45,300千円、間接経費: 13,590千円)
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キーワード | 黒潮流域 / 東シナ海 / 鹿児島湾 / 係留観測 / 栄養塩輸送 / 黒潮 / 鹿児島湾口 / 栄養塩 / 動物プランクトン / 化学トレーサー / ADCP / 沿岸域 / 双方向物質輸送 / 海水交換 / 植物プランクトン |
研究開始時の研究の概要 |
黒潮はルソン島東部の源流域から関東南部までの2000㎞以上にわたる長い流路において、南シナ海、東シナ海、日本南岸などの沿岸域に影響を与えると同時に、これらの沿岸域からの影響を受けている。本研究では、東シナ海と九州周辺海域で複数の長期係留観測を行い、黒潮と沿岸域との双方向の海水交換の実態を把握する。また、係留観測期間中に塩分・栄養塩・生物粒子の複数の面的な観測を行い、流速データと合わせて、塩分と栄養物質の輸送量を見積もる。さらに、化学トレーサーと数値モデルを利用して、陸起源と外洋起源栄養物質の割合を算出し、「沿岸海洋の生物生産を支える栄養物質供給において陸域と外洋のどちらが支配的か」を考察する。
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研究実績の概要 |
今年度の長崎丸航海(5月、7月)とかごしま丸航海(11月)を利用して、東シナ海における5台のTRBM-ADCPの設置と回収、3測線17点でCTD・VMP・船底ADCPなどの面的な観測を行った。また、鹿児島湾と外洋の海水交換の観測のために、外洋水が流入する湾口東側と湾内水が流出する湾口西側にTRBM-ADCPを設置した。 東シナ海陸棚域の海底近傍において、TRBM-ADCPの流速データから潮流エクマン層を仮定して見積もった渦粘性係数が、係留観測点周辺で実施した乱流観測データから算出した渦粘性係数の時間平均値とほぼ一致することが示され、黒潮から対馬暖流へ連なる分岐流に直交するエクマン輸送量の変動をTRBM-ADCPの長期流速データから見積もる可能性が拓かれた。また、夏に東シナ海陸棚域の底層に低酸素水が観測され、その形成過程を考察した。低酸素水塊の主な起源水である黒潮亜表層水、陸棚混合水の寄与量を明らかにした。東シナ海陸棚斜面域において、夏と秋にマルチセンサーによる低次生態系の集中観測の結果、夏には、長江希釈水と陸棚側からの栄養塩供給により陸棚側で栄養塩濃度が高くハプト藻が優占し、黒潮側では栄養塩濃度が低く藍藻が優占していた。また、秋には、混合層が発達し栄養塩および植物組成の東西南北差は小さいことが明らかとなった。また、同観測で大陸棚縁辺の深度100mを中心に対馬暖流(高塩分水)が150m等深線に沿って北上している様子を捉えた。トカラ海域を対象として、黒潮水・沿岸水の移流を動物プランクトン分類群組成から検出する方法を検討した。その結果、①遺伝子解析によりカイアシ類では科レベルの分類群組成を識別・解析できること、②沿岸水や黒潮水だけでなくこれらの混合域を特徴づけるカイアシ類分類群組成が存在すること、が分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
東シナ海における海底設置型超音波式流速計(TRBM-ADCP)の設置と回収は計画通りで完了した。また、鹿児島湾口で海底設置型超音波式流速計(TRBM-ADCP)を新たに設置した。
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今後の研究の推進方策 |
東シナ海陸棚上と鹿児島湾口の係留観測を継続する。4月には、長崎丸航海を利用して、昨年11月に設置した海底設置型超音波式流速計(TRBM-ADCP)を3台回収する。5月には、長崎丸航海を利用してTRBM-ADCPを3台東シナ海に設置する。6月には、かごしま丸航海を利用して鹿児島湾口に設置した2台のTRBM-ADCPを回収・再設置、および湾口部のCTD・採水観測を行う。7月には、長崎丸航海を利用して東シナ海の係留点周辺において乱流微細構造プロファイラー(VMP-250)による乱流観測、CTD観測、採水、マルチコアラーによる採泥、プランクトンの採集作業を行う。11月には、かごしま丸航海を利用して東シナ海の係留点周辺において、乱流観測、CTD観測、採水、プランクトンの採集作業を行い、さらに3台のTRBM-ADCPを回収し、1台を再設置する。また、鹿児島湾口の2台のTRBM-ADCPを回収する。
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