研究領域 | 超軌道分裂による新奇巨大界面応答 |
研究課題/領域番号 |
23H03805
|
研究種目 |
学術変革領域研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅱ)
|
研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
福島 鉄也 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 研究チーム長 (00506892)
|
研究分担者 |
新屋 ひかり 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任准教授 (60784709)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
19,110千円 (直接経費: 14,700千円、間接経費: 4,410千円)
2024年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
|
キーワード | マテリアルデザイン / 酸化物スピントロニクス / 第一原理計算 / KKRグリーン関数法 / 多階層連結シミュレーション / 強相関系 / 超軌道分裂 / 巨大界面応答 |
研究開始時の研究の概要 |
酸化物ヘテロ構造と非平衡マルチフェロイックス界面における特異な軌道分裂(超軌道分裂)現象の学理構築と、超巨大界面応答を実現するヘテロ構造材料のデザインを推進する。 独自の自動ハイスループット材料計算」を主軸に、電子・磁気・伝導特性を詳細に解析し広範囲の材料探索空間をスクリーニングする。 電子顕微鏡計測によって得られた原子配列・位置のデータ同化により安定界面を推定し、超軌道分裂を制御することで巨大界面応答に最適なバンド構造を予測する。 領域内での緊密な共同研究体制のもと、微視的物理機構とデザイン指針を提案し、高効率スピンデバイスの実証を加速させる。
|
研究実績の概要 |
学術変革領域研究(B)「超軌道分裂による新奇巨大界面応答」では、界面における特異な電子軌道を制御し微小外場による巨大物性応答実現を目的としている。 A03班は福島鉄也(代表)と新屋ひかり(研究分担者)で構成されている。理論・計算・データ科学により、酸化物ヘテロ構造と非平衡マルチフェロイックス界面における特異な軌道分裂(超軌道分裂)現象の学理構築と、超巨大界面応答を実現するヘテロ構造材料のデザインを推進する。 2023年度はA01班(大矢グループ、永沼グループ)・A02班(佐藤グループ)との研究協力体制を構築するとともに、上記を達成するために計算手法・コードの開発に注力した。具体的には、Korringa-Kohn-Rostoker (KKR)グリーン関数法に立脚した強相関系酸化物の電子状態を高精度で記述する電子状態計算手法、コヒーレントポテンシャル近似を用いた有限温度電気伝導を精査可能な計算手法、そしてハイスループット計算ツールの開発である。実際に、これらの手法や大型計算機施設(特にスーパーコンピューター「富岳」)を用いた電子論的研究を種々の強相関系酸化物に対して適用し、その有用性が証明した。また、インパクトファクターの高い学術雑誌投稿論文や招待公演による研究成果の発信を積極的に行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は、6件の論文掲載、10件の招待公演、1件のプレスリリースを達成した。また、領域会議、キックオフミーティングを順調に行い、A01、A02、A03班の連携を模索しつつ成果報告を行ってきた。 顕著な成果は、研究分担者の新屋氏が、フォノンやマグノン散乱をKKRグリーン関数法とコヒーレントポテンシャル近似によって記述することで、強磁性半導体の電有限温度気抵抗率の特異な振る舞いを理論的に解明したことである。これはA01班(大矢グループ)とA03班(福島グループ)による共同研究の成果であり、APL Materialsに掲載されプレスリリースを行った。 また、A01班がFe/MgO電極を有するGeナノチャネルデバイスにおいて発見した非常に大きな磁気抵抗比のメカニズムを、A03班が理論的を解明することに成功した。この成果はAdvaced Materialsに掲載され、こちらもプレスリリースを行った。
|
今後の研究の推進方策 |
2023年度は計算手法・コード開発に重点を置いたが、今後はこれらのツールを利用して、超軌道分裂現象の学理構築と超巨大界面応答を実現するヘテロ構造材料のデザインを行う。 A01班(大矢グループ)とA03班(福島グループ)の連携に続き、A01班(永沼グループ)、A02班(佐藤グループ)との共同研究を実施する。非平衡マルチフェロイクス界面(BiFeO3、BiCoO3など)における複雑な軌道分裂に着目し、巨大磁気応答を実現する界面構造を探索する。また、データ同化による数値計算と高精度電子顕微鏡計測の融合により、安定界面構造の推定を行う。
|