研究領域 | 生物鉱学の創成 |
研究課題/領域番号 |
23H03814
|
研究種目 |
学術変革領域研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅱ)
|
研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
淵田 茂司 東京海洋大学, 学術研究院, 准教授 (50762126)
|
研究分担者 |
大竹 翼 北海道大学, 工学研究院, 教授 (80544105)
吉田 健太 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海域地震火山部門(火山・地球内部研究センター), 副主任研究員 (80759910)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
47,060千円 (直接経費: 36,200千円、間接経費: 10,860千円)
2024年度: 14,950千円 (直接経費: 11,500千円、間接経費: 3,450千円)
2023年度: 17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
|
キーワード | 熱水鉱石 / 鉱物溶解 / 黄鉄鉱 / ガルバニック腐食反応 / 溶解速度試験 / 金属鉱床 / 地球化学モデリング |
研究開始時の研究の概要 |
研究計画C01班ではSMM反応(Sulfur microbial mineralization reaction)における硫化鉱物の各化学反応プロセスの素過程理解と定量評価方法の確立を目指す。今回は,海洋の硫黄細菌によって生成する硫化鉱物の物理化学的特性と選択性が,海底下で生成する金属鉱床の成因とどのように関連するのか調べる。そのために,C01班では,A01班から提供される天然試料とB01班の生物系反応実験の合成試料をシンクロトロン(XAFS, STXM)で分析し,第一原理計算による高精度シミュレーションの結果との妥当性を評価することで,生成鉱物の結晶性・構造変化の違いを定量的にとらえる。
|
研究実績の概要 |
海底熱水鉱石中の硫化鉱物分解メカニズムを調べるために,過去に採取した海底熱水鉱石を用いた海水反応実験を行った。溶出成分および生成する二次沈殿成分を前処理後にICP-OESおよびイオンクロマトグラフィーで分析し,各鉱物の溶出速度を決定した。そのうち,閃亜鉛鉱(ZnS)の溶解反応速度定数は鉱石中の黄鉄鉱の量によって変化し,最大2桁程度大きくなることが分かった。海水と反応させた後の鉱石試料をX線吸収微細構造(XAFS)により分析したところ,反応前後で特徴的なZn成分の化学組成変化や結晶構造変化は確認されなかった。次いで,鉱石標本試料(ZnS, FeS2)を準備し,模擬鉱石を作成して海水との反応実験を行った。その結果,FeS2を添加した反応系でZnSの溶解速度が大きくなることが分かった。この結果は,実際の鉱石を用いた試験と調和的であった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は鉱床の成因に関連する硫化鉱物の反応プロセスを調べるものであり,溶解に関する知見を徐々に集約できている。現在は非生物系での反応のみ取り扱っているが,今後微生物を用いた試験が必要となる。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでの試験では,ガルバニック腐食反応によって鉱石中の硫化鉱物の溶解速度が変化することが明らかとなった。今後,この反応系において具体的に硫黄酸化細菌を添加して,微生物の有無によりガルバニック腐食反応や鉱物の溶解速度がどのように変化するか確認する予定である。また,鉱床の成因で重要な硫化鉱物の沈殿生成についても検討を始める。特に,微生物由来のフランボイダル状の黄鉄鉱の生成と硫黄同位体分別作用について調査する必要がある。具体的には初生鉱物となるFeSを様々な条件で反応させ,黄鉄鉱の生成速度が最大となる物理化学条件,または生物反応条件を検討する。
|