研究領域 | 活イオン液体の科学 |
研究課題/領域番号 |
23H03827
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研究種目 |
学術変革領域研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅱ)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
山田 裕貴 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (30598488)
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研究分担者 |
岡 弘樹 東北大学, 多元物質科学研究所, 講師 (50907376)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
31,980千円 (直接経費: 24,600千円、間接経費: 7,380千円)
2024年度: 13,910千円 (直接経費: 10,700千円、間接経費: 3,210千円)
2023年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
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キーワード | 電解液 / 蓄電池 / 電気化学反応 / 二次電池 / 活イオン液体 / リチウム金属 / 電極電位 |
研究開始時の研究の概要 |
「活イオン液体」の多様性を追求するとともに応用電気化学の基礎概念およびエネルギー貯蔵・変換材料の設計概念の変革を目指す。活イオン液体の構成成分となる溶媒分子およびイオンを新たに設計・合成し、従来の材料にはない高機能の活イオン液体を開発する。活イオン液体が示す特異的機能の発現機構を精密界面分析によって明確化するとともに、次世代エネルギー貯蔵・変換デバイスの実現に向けた新学術基盤を確立する。
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研究実績の概要 |
本研究では、反応活性を有するイオン「活イオン」を高濃度に含む「活イオン液体」の新設計・合成と二次電池を中心とする電気化学デバイスへの応用を目的とした。 今年度は、リチウムイオン電池用の新規活イオン液体の設計・合成を中心に行った。これまでの研究において、リチウムイオンに弱く配位する溶媒を用いることで、リチウム電極電位が上昇し、リチウム金属負極の充放電効率が上昇する傾向を見いだしている。この知見に基づき、リチウムイオンに極めて弱く配位する溶媒群を設計・合成した。具体的には、NSO2F構造を有する溶媒群である。LiN(SO2F)2塩を溶解することで電解液を調製し、さまざまな基礎物性評価、電気化学評価を行った。本電解液中におけるリチウム電極電位をフェロセン基準で測定したところ、同等のリチウム塩濃度においてこれまでで最も大きなアップシフトが観察された。これは、当該電解液中でリチウムイオン化学ポテンシャルが極めて高いことを意味する。更に、この電解液中においてリチウム金属二次電池特性を評価したところ、既存の有機溶媒電解液やイオン液体電解液と比べても高い充放電効率が得られた。また、さまざまな側鎖構造を有する溶媒群を合成し、リチウム電極電位やリチウム金属二次電池特性を調べ、適した側鎖構造を特定した。 本成果は、リチウム電極電位の大幅な上昇に向けた新たな電解液設計を提示するものである。次世代二次電池の筆頭候補とされるリチウム金属二次電池用電解液の実現に向けた重要な学術基盤となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初は、良好な特性を示す新電解液の開発に時間がかかるものと予想していたが、初年度で非常に良い特性を示す新溶媒の設計・合成に成功した。
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今後の研究の推進方策 |
新たな「活イオン液体」材料系が見いだされ、研究は当初の計画以上に進展している。今後は、見いだされた溶媒群をベースとして、更なる高性能電解液材料の設計・合成を行う。新溶媒の開発が当初の予定よりも早くなされたため、次年度は新規リチウム塩(アニオン)の設計・合成にも着手する予定である。また、二次電池以外への応用についても検討を始める。具体的には、窒素還元や二酸化炭素還元などの電気化学的物質返還反応の電解液として検討する予定である。
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