研究領域 | 分子触媒・反応場・反応解析法の革新と協奏:CO2光多電子還元の学理構築 |
研究課題/領域番号 |
23H03832
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研究種目 |
学術変革領域研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅱ)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中田 明伸 京都大学, 工学研究科, 講師 (20845531)
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研究分担者 |
大洞 光司 大阪大学, 大学院工学研究科, 准教授 (10631202)
山崎 康臣 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 講師 (90784075)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
57,980千円 (直接経費: 44,600千円、間接経費: 13,380千円)
2024年度: 19,370千円 (直接経費: 14,900千円、間接経費: 4,470千円)
2023年度: 19,370千円 (直接経費: 14,900千円、間接経費: 4,470千円)
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キーワード | 光触媒 / 二酸化炭素還元 / 金属錯体 / 半導体 / 人工酵素 / CO2還元 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題では、本領域が目指すメタノールなどCO2の高次多電子還元生成物やエチレンなどの含複炭素化合物を光エネルギーによって獲得するために必要不可欠である、分子触媒上におけるCO2・電子・プロトンからなる複合的な基質操作を可能とする光反応場を構築することを目的とする。A01班が開発する革新的CO2変換触媒を複合光反応場に緻密に取り込み、その特異な反応性をC01班が開発する独自の解析手法を駆使して解明することで、CO2の自在光変換を実現する学理構築に貢献する。
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研究実績の概要 |
本研究課題では、本領域が目指すメタノールなどCO2の高次多電子還元生成物やエチレンなどの含複炭素化合物を光エネルギーによって獲得す るために必要不可欠である、分子触媒上におけるCO2・電子・プロトンからなる複合的な基質操作を可能とする光反応場を構築することを目的 とする。A01班が開発する革新的CO2変換触媒を複合光反応場に緻密に取り込み、その特異な反応性をC01班が開発する独自の解析手法を駆使し て解明することで、CO2の自在光変換を実現する学理構築に貢献する。 今年度は、領域全体としてターゲットとする錯体系を共有することができた。光励起電子を局在サイトに誘導する共役系高分子反応場を開発し、高い量子収率でCO2を還元する複合光触媒系の構築に成功した。CO2多電子還元反応において重要な触媒活性中心への円滑な電子/プロトンの供給を可能にする「タンパク質反応場」 の開発を推進した。電子移動、プロトン伝達経路を有するタンパク質、シトクロムP450のアポタンパク質にCoポルフィリンが導入し、CO2還元光触媒反応を検討した。分子性の基質・触媒を用いた光触媒反応における「溶媒効果」は、典型的な反応条件下では主に「レドックス光増感反応」に対して強く表れることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
錯体触媒の性能を引き出し、高難易度反応に導く光反応場の設計開発の第一歩として、高分子材料および人工酵素への錯体触媒の取り込み、反応溶媒に依存する光反応性の検討を予定通り遂行できた。高分子光反応場においては、触媒部へと励起電子を共有する適切な分子設計を明らかにし、高い量子収率で錯体触媒を機能させることに成功した。人工酵素反応場において、プロトン/電子を供給するために適した狙いの位置へと錯体触媒を導入することに成功した。光触媒反応への溶媒効果に関しては、単なるCO2還元の触媒特性に対してだけではなく、光反応の効率を決定づける光電子移動過程に重要な役割を果たすことを見出した。これらの成果は、次年度以降に触媒開発班で開発中の錯体触媒を取り込み、その特性を最大限に引き出すための検討につながる重要な知見を与えたことから、当初の予定通り順調に進展していると評価する。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度に、領域全体としてターゲットとする錯体系を共有することができたため今後は、当該錯体に光励起電子、プロトン、およびCO2を効果的に供給する反応場の構築と錯体触媒の内包に着手する。 (1) 2023年度に開発した、光励起電子を局在サイトに誘導する共役系高分子反応場に、CO2多電子還元を進行しうる錯体触媒を内包させる。中心金属のチョイスにより、COを強固に捕捉する錯体種、あるいはCO二分子で架橋した錯体種を形成することで、CO2の多電子還元、およびC-C結合形成に導く。 (2) 2023年度に引き続き、CO2多電子還元反応において重要な触媒活性中心への円滑な電子/プロトンの供給を可能にする「タンパク質反応場」 の開発を推進する。電子移動、プロトン伝達経路を有するタンパク質、シトクロムP450のアポタンパク質に種々の非天然金属錯体の導入を行い、人工酵素を調製する。種々の光増感剤を人工酵素に修飾あるいは相互作用させ、二酸化炭素還元反応を試みる。 (3) 光増感反応の各素過程を追跡することで、光増感反応の効率を決定づける溶媒のパラメータを明らかにし、光触媒反応を高効率化できる汎用性の高い学術的な知見の獲得を目指す。さらに、上述の電子移動反応だけでなくプロトンを同時に触媒へ供与できる光化学反応(光化学的プロトン共役電子移動・ヒドリド移動反応)にも注目し、最適 な溶液の組成や光増感剤(光触媒)を模索することで触媒の反応特性を変えられる光化学反応の開発にも着手する。
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