研究領域 | 老化時計リバイバル機構の解明 -老化研究における新たなパラダイムシフト |
研究課題/領域番号 |
23H03837
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研究種目 |
学術変革領域研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅲ)
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
菱田 友昭 和歌山県立医科大学, 薬学部, 准教授 (80521062)
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研究分担者 |
平野 利忠 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 客員研究員 (10965726)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
32,110千円 (直接経費: 24,700千円、間接経費: 7,410千円)
2024年度: 10,660千円 (直接経費: 8,200千円、間接経費: 2,460千円)
2023年度: 10,790千円 (直接経費: 8,300千円、間接経費: 2,490千円)
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キーワード | リバイバル / 再生 / 幹細胞 / リプログラミング / MYC / 山中4因子 / Myc |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、老化や疾病などによって不可逆的に減弱する組織再生能の再活性化手法の確立を目標とする。老化はほとんどの生物で認められる、緩やかだが確実に進行する個体の機能低下を指す。最近になって、こうした加齢による不可逆的な変化を巻き戻し得る研究成果が相次いで報告されている。しかしながら、こうしたリバイバルがあらゆる文脈で可能なのかどうか未だ不明である。また、リバイバルについての分子機序についてもこれまで明らかにされていない。本研究では、研究代表者・分担者らが独自に見出した部分的な細胞リセット手法を活用して、リバイバル機構のメカニズム解明とそれに基づく組織若返り手法の開発を目指す。
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研究実績の概要 |
研究代表者らは部分的リプログラミングが老化の減弱や組織再生能亢進に活用できることを示したので、この分子機序解明により、老化時計を巻き戻す (リバイバル) に応用できるメカニズムを活用し、今後のリバイバル研究に資する成果を見出すことを目的としている。
本年度は、部分的リプログラミングの分子機序解明を目的とし、研究代表者が樹立した肝臓特異的に山中4因子 (4F) を誘導できるマウスモデルを用いて研究を進めた。その結果、時計遺伝子のいくつかがリプログラミングに重要な役割を果たすことを明らかにした。具体的にはBmal1を欠失することにより4Fによる再生能亢進の影響が消失した。また、胚性幹細胞や分化多能性を獲得したiPSCsにおいて時計遺伝子の発現リズムが消失することが知られているが、その発現リズムの消失は、分化多能性の獲得に先立って誘導されることを見出し、時計機能の制御にも部分的リプログラミングが有用であることが示された。さらにCry1がリプログラミングや分化多能性維持機構に重要な役割を果たすことを見出し、時計遺伝子の初期化における役割を明らかにした。
また、分担者の平野は、L-Myc強制発現による膵臓の再生能亢進の更なる分子機序を解析しているところである。本研究領域ではA04班がマルチオミックス班となっており、A04班と協調して各種リバイバル機序を明らかにすることを主眼としているが、平野はマルチオミックスのためのサンプルをA04班とともに解析をしている段階である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究により時計遺伝子のリプログラミングの関連を見出したり、A04班との協調が上手くいっているなど、研究としては概ね順調に進んでいると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
先のように部分的細胞リセットの分子機序解明としては概ね順調に進展していると言える。しかし、米国にて樹立した部分的細胞リセットのマウスを凍結胚の形で輸送し、再構築を試みたが構築できなかったため、方針を転換する可能性も含め検証する。具体的には、in vitroにおける老化細胞のリプログラミングを通じての分子機序解明を行う予定である。
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