研究領域 | マルチスケール4D生物学の創成 |
研究課題/領域番号 |
23H03847
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研究種目 |
学術変革領域研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅲ)
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研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
別役 重之 龍谷大学, 農学部, 准教授 (80588228)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
38,610千円 (直接経費: 29,700千円、間接経費: 8,910千円)
2024年度: 12,870千円 (直接経費: 9,900千円、間接経費: 2,970千円)
2023年度: 12,870千円 (直接経費: 9,900千円、間接経費: 2,970千円)
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キーワード | ライブイメージング / シロイヌナズナ / 植物免疫 / 老化 / 4Dマクロイメージング / 免疫 / 細菌 / 蛍光イメージング |
研究開始時の研究の概要 |
本研究計画では、本申請者がこれまで注力してきた、生きたままの非切断葉を用いた植物免疫応答遺伝子発現のライブイメージング系と、低光毒性3D撮像を可能とするライトフィールド技術(LF)を融合させて4D化し、個体レベルでの4Dマルごとイメージング系【LF-4Dマクロ】を開発を目指す。細胞レベルの解像度を持ち、動植物個体マルごとを扱うことができるLF-4Dマクロを開発して用いることで、植物の老化ー免疫相関を軸にして動植物間での老化という現象の共通性や独自性を、現象に関わる遺伝子や分子機構、生理現象などの点から検証する。
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研究実績の概要 |
本研究計画では、生きたままの非切断葉を用いた植物免疫応答遺伝子発現のライブイメージング系と、低光毒性3D撮像を可能とするライトフィールド技術(LF)による4Dイメージャーを融合させて4D化し、個体レベルでの4Dマルごとイメージング系【LF-4Dマクロ】の開発を目指す。また、LF-4Dマクロを開発して用いることで、植物の老化-免疫相関を軸にして動植物間での老化という現象の共通性や独自性を、現象に関わる遺伝子や分子機構、生理現象などの点から検証することを目的としている。 2023年度は、まずLF-4Dマクロのベースになる光学系の検討をゼロベースで改めて行い、当初の予定通りの光学系を選定し、導入するに至った。ここに研究室所有の広視野CCDカメラを導入することで、植物個体レベルで撮像可能な光学系を構築することができ、LF-4Dマクロの技術基盤を確立させた。また、本領域内での議論もへて、新たに細菌レベルのサイズに適用可能な【LF-4Dミクロ】の開発も行うこととし、研究室既存の倒立wide-field蛍光顕微鏡をベースに、上述の4Dイメージャーを本領域の杉らの協力のもと試用し、3D空間での高速タイムラプス撮影による細菌の4D遊泳像取得に成功し、プラスチックシャーレ内での細菌懸濁液中ではあるが、高速で時折折れ曲がる様に方向を変えながら運動している細菌や、ブラウン運動様に揺れているもの、細菌集団塊を作っているものなど明確に区別可能であることが明らかとなった。 また、植物老化―免疫相関研究に用いる予定であったpWRKY33-3VNP植物において、レポーター遺伝子3VNPのサイレンシングと想定される現象が多数の個体で確認され、新たに3VNPを構成する3つのVenus配列のコドンパターンを変更した3VNPを作成することで今後のスクリーニングに対応可能なレポーター植物の構築を目指すこととした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
【LF-4Dマクロ】のベースとなる光学系の選定に向け、実体顕微鏡など、少なくとも2~3週齢シロイヌナズナのロゼッタサイズを撮影可能な光学系をゼロベースで再度、多数検討した結果、当初予定していた電動ズーム顕微鏡が最も広い視野を持ち、蛍光撮影時にも対応可能であったため、予定通り本機種をベースとなるシステムとして選定した。 また、研究代表者グループでは、植物と植物病原細菌の相互作用を扱っており、植物と植物病原細菌の相互作用を両者のイメージングによって解明することを目剤している。しかし、その取り組みの中で、細菌のように小さく、かつ、早く移動する対象の4D顕微鏡撮影における課題(zスキャンする間に遊泳して位置が変わるなど)にも直面している。そこで、本学術変革領域内での議論も経て、LF技術を細菌レベルのサイズのものに応用した【LF-4Dミクロ】の開発も行うこととした。そこで、実際に研究室既存の倒立wide-field蛍光顕微鏡をベースに、上述の4Dイメージャーを本領域の杉らの協力のもと試用し、3D空間での高速タイムラプス撮影による細菌の4D遊泳像取得に挑戦した。その結果、プラスチックシャーレ内での細菌懸濁液中ではあるが、高速で時折折れ曲がる様に方向を変えながら運動している細菌や、ブラウン運動様に揺れているもの、細菌集団塊を作っているものなど明確に区別でき、LF-4Dミクロ開発がもたらす有用性を示す結果を得ることができた。 植物老化―免疫相関研究に関しては、作出済みのpWRKY33-3VNP植物においてレポーター遺伝子3VNPのサイレンシングと思われる蛍光減衰現象がT3世代において多数見出された。低コピー数挿入株を選抜したにも関わらず本現象が見られたことから、3VNP中に存在する3コピーのVenus配列がサイレンシングの誘因になっている可能性が浮上した。
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今後の研究の推進方策 |
【LF-4Dマクロおよびミクロの開発】2023に設置した電動ズーム顕微鏡を用いたマクロ4D技術開発を進める。特に、杉らの4Dイメージャーを導入し、LF-マクロ4D技術の開発へと進める予定である。同領域の片岡とも情報交換を行なって同型機種を導入したことから、LF-マクロ4D技術開発においても引き続き密接に連携を行う。また、LF-4Dミクロに関しては、2023の試行を踏まえて、2024はLFアルゴリズムの最適化なども杉らと協力して図り、さらなる技術の確立を目指す。電動ズーム顕微鏡を用いた系において、植物細胞および細菌細胞が認識可能な4Dイメージングが可能かどうかも合わせて検討する。 【老化過程における植物免疫動態の順遺伝学的・逆遺伝学的解析】植物における老化-免疫相関と、器官連関の解析モデルとして利用予定のpWRKY33-3VNP植物に関しては、2023末に判明した3VNPのサインレンシング現象を踏まえ、異なるコドンパターンを用いて作成した3種のコドン変換済みVenusを持つ3VNPレポーターを新たに構築することで同一配列由来のサイレンシング防止を目指したpWRKY33-3VNP植物ver2.0を構築し、その後の遺伝学的解析に適切な低コピー挿入株を選抜し、そのEMS突然変異M2集団を作成し 、老化葉および非老化葉でpWRKY33-活性化パターンが変動する変異体の原因遺伝子を同定、解析するための基盤整備を行うこととする。また、逆遺伝学的手法として、動物の老化制御に重要な遺伝子群のシロイヌナズナホモログ変異体を収集し、pWRKY33の活性化パターンへの影響を調査するための材料整備も行う。また、同領域の佐藤らとも情報交換を行いつつ、改めて動植物の老化現象を文献等に基づいて整理し、注目する指標等を再検討する。
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