研究領域 | しなやかさ生物学:生命はなぜ「しなやか」なのか? |
研究課題/領域番号 |
23H03855
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研究種目 |
学術変革領域研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅲ)
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
氏原 嘉洋 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80610021)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
36,530千円 (直接経費: 28,100千円、間接経費: 8,430千円)
2024年度: 11,830千円 (直接経費: 9,100千円、間接経費: 2,730千円)
2023年度: 12,350千円 (直接経費: 9,500千円、間接経費: 2,850千円)
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キーワード | しなやかさ / 心筋細胞 / 膜微小環境 / 力学特性 / ストレス応答 / 膜臨界場 / 膜脂質 |
研究開始時の研究の概要 |
様々な刺激に対し変容する能力『しなやかさ』は,生命に必要不可欠であるが,生命のしなやかさを支える機構は不明である.本研究では,刺激受容の前段階で生じる可塑性に富むホットスポット(膜臨界場)がしなやかさを制御するとの考えに基づき,膜臨界場の実像を力学的な側面から明らかにすることを目的とする.他計画班と連携しながら,膜臨界場がしなやかさを制御する仕組みの解明を目指す.
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研究実績の概要 |
力やpH,温度などの様々なストレスに対し変容する能力「しなやかさ」は,生命に必要不可欠であるが,その機構は未だ不明である.本研究では,刺激受容の前段階で生じる可塑性に富む膜のホットスポット(膜臨界場)がしなやかさを制御するという仮説に基づき,膜臨界場の実像としなやかさを力学的な側面から明らかにすることを目的とする.他計画班と連携し,膜臨界場がしなやかさを制御する仕組みの解明を目指す. 哺乳類の心筋細胞のT管膜は,血行力学負荷に対する心臓のしなやかな応答を支えている.しかしながら,その形状や力学特性は十分に解明されていない.本年度は,原子間力顕微鏡を用いてT管膜の力学特性評価に挑戦した.T管膜構造は,心筋細胞の形質膜が細胞長軸方向と直交して陥入した構造であるため,一般的な原子間力顕微鏡でT管膜構造そのものの力学特性を計測することは極めて困難である.本研究では,金沢大学ナノ生命科学研究所の協力を得て,先端が細長いナノ針を用いて,細胞周縁部(側面付近の上面)から細胞中央方向へと斜めに陥入しているT管膜の側面の力学特性の計測に成功した.陥入していない形質膜と比較して,T管膜は非常に柔軟であることが示唆された.続いて,T管膜の脂質分子を明らかにするため,「しなやかさ生物学」長尾班と連携してT管膜形成前後の心筋細胞の脂質解析を行った.その結果,T管膜形成後にはドコサヘキサエン酸(DHA)を含有した脂質分子が増加していた.DHAは構造変化に富んだ脂質であり,膜に柔軟性を提供することが知られている.これらの結果は,原子間力顕微鏡で示されたT管膜の柔軟性の結果と一致しており,DHAを含む脂質分子の存在がT管膜の柔軟な構造を支える重要な要素である可能性を示唆している.今後は,これらのデータをさらに増やすとともに,他の手法も併用して多角的に研究を進めていく.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
原子間力顕微鏡の納入が当初予定よりも遅れたものの,今後につながる成果を得られたため.また,他の計画班との連携により,期待以上の成果が得られたため.
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今後の研究の推進方策 |
本年度に導入した原子間力顕微鏡と独自の解析系を駆使して,膜臨界場の実像に迫りたい.さらに,「しなやかさ生物学」の他計画班と連携を深めていく.
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