研究領域 | しなやかさ生物学:生命はなぜ「しなやか」なのか? |
研究課題/領域番号 |
23H03857
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研究種目 |
学術変革領域研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅲ)
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研究機関 | 京都薬科大学 |
研究代表者 |
長尾 耕治郎 京都薬科大学, 薬学部, 准教授 (40587325)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
36,400千円 (直接経費: 28,000千円、間接経費: 8,400千円)
2024年度: 12,350千円 (直接経費: 9,500千円、間接経費: 2,850千円)
2023年度: 12,350千円 (直接経費: 9,500千円、間接経費: 2,850千円)
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キーワード | リン脂質 / ショウジョウバエ |
研究開始時の研究の概要 |
研究代表者は、ショウジョウバエ細胞が膜脂質の動態制御を介して“しなやかに”細胞外の環境変化に順応できることを明らかにしてきた。本研究課題では、膜脂質のリモデリングが柔軟に起こり、高い環境適応力を有するショウジョウバエ細胞を用いて「しなやかさ生物学」研究を遂行することで、細胞が脂質分子の動態を自ら制御することにより、細胞・組織・器官の機能をしなやかに統御する“膜臨界場”を創造する機構の解明を目指す。さらに、領域内連携により、“膜臨界場”を介して細胞応答の“しなやかさ”が統御される機構及びその普遍性と多様性を明らかにする。
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研究実績の概要 |
研究代表者はショウジョウバエ細胞を用いた研究により、「膜脂質の動態制御を介して、細胞が“しなやかに”細胞外の環境変化に順応できること」を明らかにしてきた。この「膜脂質の動態制御が柔軟な細胞応答を可能にする」という発見は、超分子複合体である細胞膜において、構成成分の局所動態によって形成される “膜臨界場”が細胞応答の“しなやかさ”の決定要因の一つであるということを示唆している。そこで、本研究課題では、膜脂質のリモデリングが柔軟に起こり、高い環境適応力を有するショウジョウバエ細胞を用いて「しなやかさ生物学」研究を遂行することにより、細胞膜の膜臨界場の形成・制御に関わる因子の同定及び膜臨界場が細胞応答の“しなやかさ”の決定において果たす役割の解明を目指している。初年度である2023年度において、多様な細胞外環境の変化に曝した細胞のリン脂質動態を分析し、「しなやか」な細胞応答に関わりうる膜脂質動態の変化の特徴を明らかにした。具体的には、温度変化やpH変化、浸透圧変化に曝したショウジョウバエ培養細胞S2におけるリン脂質組成の変化をLC-MS/MSを用いて解析し、それぞれの環境変化に応答して変化する脂質分子の特徴を見出した。また、これらのリン脂質組成の変化を説明する脂質代謝経路について、関連する酵素や輸送体の機能解析を進めた。また、領域内連携として、LC-MS/MSを用いたリン脂質分析を通じて計画班員の研究対象における膜臨界場の構成成分解析を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「しなやか」な細胞応答に関わりうる膜脂質動態の変化の特徴を複数見出した。
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今後の研究の推進方策 |
前年度明らかにした細胞外環境変化に応答した膜脂質動態の変化において、中心的な役割を担う脂質分子とその制御タンパク質を明らかにする。そして、それらの因子が細胞応答の「しなやかさ」の制御において果たす役割を評価する。また、前年度に領域内連携として実施したショウジョウバエ細胞以外における膜臨界場の構成成分の分析をさらに進める。このような研究により、多様な生命現象における「しなやかさ」に関わる膜臨界場の実態を明らかにする。
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