研究領域 | 細胞から環境水へと繋ぐスケール横断分析:マイクロ流体デバイスで挑む物質動態の調査 |
研究課題/領域番号 |
23H03866
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研究種目 |
学術変革領域研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅳ)
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研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
福場 辰洋 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 技術開発部, 主任研究員 (80401272)
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研究分担者 |
野口 拓郎 高知大学, 教育研究部総合科学系複合領域科学部門, 准教授 (90600643)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
39,650千円 (直接経費: 30,500千円、間接経費: 9,150千円)
2024年度: 13,910千円 (直接経費: 10,700千円、間接経費: 3,210千円)
2023年度: 11,830千円 (直接経費: 9,100千円、間接経費: 2,730千円)
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キーワード | マイクロTAS / マイクロ流体技術 / 海洋計測 / 比色分析 / 送液技術 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、試料供給や校正のために流体制御系が必要なセンサデバイスによる水環境計測の実現においてボトルネックとなっている「環境-センサインターフェース技術の確立」と「送液系の小型・省電力化」に取り組む。具体的には、3Dプリント技術を含む微細加工技術を基盤としたマルチスケール流体技術と、省電力送液原理を中核とした「極限環境マイクロTAS 技術」の確立と体系化を目指す。本研究において、ミクロな細胞レベルから地球規模のマクロな水環境での現場分析の実現に資する基盤技術を確立することにより、分子認識色素や先端センサデバイス等を用いた、革新的な多成分同時分析を可能にする。
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研究実績の概要 |
今年度は極限環境マイクロTAS技術の確立に向けて、無電力および低消費電力送液系の導入と基礎的な評価試験を実施した。まず電気浸透流ポンプについては、医療デバイス向けのポンプなど複数種のポンプを入手し、電圧と流量および発生圧力についての評価を実施した。その結果フロー分析で用いることができる流量、およびマイクロバルブなどを駆動できる圧力を発生できることを確認した。その上で次年度に製作予定の組み込み用の小型電装系について仕様を策定できた。無電源送液技術については、環境水圧をもちいた送液について実証するため、高圧実験水槽、圧力センサ、流量センサなどからなる評価系を導入した。またガラス製の減圧用マイクロ流体デバイスを試作した。それらを組み合わせて、実際に送液が可能であることを確認した。バルーンを用いた無電源送液手法については、医療用バルーンを用いた評価系について検討した。また次年度以降のB01班のナノスケールトランジスタへの送液系の組み込みに先立って、原理実証用に半導体pHセンサへの組み込みおよびパッケージング法について準備を進めた。またA01班からグリホサート検出用試薬の提供を受けた上で、フロー系で計測をおこなうためのフローセルを導入した。分担機関である高知大学では、比色分析法に関する卓上および海洋現場での評価システムを構築することを目的とし、本年度は、バッチ式(事前に発色試薬との混合を行い、石英キュベット)による栄養塩類の測定環境を構築した。また、現場分析装置の評価に向けて、時系列(間欠・連続的な)環境水の採取と各種センサ計測を実施するための、サンプリングシステムを試作し、実験室内での運用試験を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
電気浸透流ポンプおよび環境圧送液技術に注力したため、バルーンポンプについての評価が遅れているが、その他の送液手法についての評価は実施できた。各送液法について次年度の評価・組み込みの準備は進捗した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに準備・評価を行ってきた送液デバイスについて、A01班の色素を用いた比色分析、B01班のナノスケールトランジスタとの集積化および試験を実施する。比色計の試験には栄養塩の計測系を分担機関である高知大学と連携して進める。半導体センサについてはpHセンサを用いることで原理実証を行う予定である。
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