研究領域 | 尊厳学の確立:尊厳概念に基づく社会統合の学際的パラダイムの構築に向けて |
研究課題/領域番号 |
23H04849
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅰ)
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研究機関 | 北九州市立大学 |
研究代表者 |
高木 駿 北九州市立大学, 基盤教育センター, 准教授 (90843863)
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研究分担者 |
岩佐 宣明 愛知学院大学, 教養部, 教授 (00534356)
品川 哲彦 関西大学, 文学部, 教授 (90226134)
青田 麻未 群馬県立女子大学, 文学部, 講師 (90963330)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
19,760千円 (直接経費: 15,200千円、間接経費: 4,560千円)
2024年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
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キーワード | 尊厳 / 価値論 / 倫理学 / 美学 / ジェンダー / 哲学 / ジェンダー論 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、「態度適合理論/分析」を、感情、自然・環境、生命、文化、ジェンダー、セクシャリティの観点から改良・使用することで、多元的で多様な現代社会に対応した尊厳概念を「社会的地位/身分」ではなく「絶対的価値」として正当化し、従来のモデルを克服する尊厳理解の新たなモデルを築くとともに、尊厳概念のより正確な定義を提案する。これにより、尊厳概念に多元化・多様化・拡張化を強く求める社会の要請に十分に応答可能な概念を「尊厳学」の確立の基盤として提供する。さらに、「生きるに値する/値し ない」の優生学的線引きとして機能することのない尊厳概念を練り上げ、その射程を人間以外のさまざまな存在者にまで拡張する。
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研究実績の概要 |
本研究の最終的な目的は、「価値の態度適合理論Fitting Attitude Theory of Value」を、感情、自然・環境、生命、文化、ジェンダー、セクシャリティの観点から改良・使用することで、多元的で多様な現代社会に対応した尊厳概念を「絶対的価値」として正当化し、新たなモデルを築くことである。これにより、尊厳概念に多元化・多様化・拡張化を強く求める社会の要請に十分に応答可能な概念を「尊厳学」の確立の基盤として提供する。 2023年度は、7月、9月、3月に計3回、ワークショップないしシンポジウムを開催した。第一回目では、本班が用いる「価値の態度適合理論」と尊厳概念との関係、そしてその理論をめぐる諸問題をG. シェーンリッヒの論文(Kant’s Theory of Dignity: A Fitting-Attitude Analysis of a Value, in Kant’s Concept of Dignity)を頼りに外観した。第二回目では、環境および非人間的存在と価値概念との関係を現代哲学の視座から改めて吟味しなおすことで、価値概念を人間以外のものへと拡張できる可能性を検討した。第三回では、再びシェーンリッヒの論文を主題とし、「価値の態度適合理論」の問題をいかにしてクリアすればよいのか、その方向性を議論し、態度を支える理由の概念に定位する方法か、適切さの概念に定位する方法か、いずれかの方法が有効であるかもしれないという見通しを得ることができた。また、関連する業績として、おのおのの所属学会などにて論文5報、発表6回を公開することができ、客観的業績についても申し分なかったと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上述したワークショップおよびシンポジウムの開催を通じて、また、班内でのやりとりを通じて、本研究の目的を遂行する次なる具体的課題(「今後の研究の推進方策」に記載)を析出することができた。また、繰り返しになるが、客観的業績の発表についても十分な質と量で行うことができていると考える。ただし、期待以上の進捗があったかと言われれば、計画通りとしか言えないので、現在までの進捗状況は「おおむね順調に進展している」とした。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、2023年度の活動を踏まえて、人間以外をも対象とする「価値の態度適合理論」の構築を課題とする。より具体的に言えば、態度という概念を(戸田山和久などが知識ないし認識の概念に対して行っているように)自然化し、人間以外の意識を持たない存在者にまで拡張することで、それぞれの存在が態度を持ち、それゆえに価値を享受していることを明らかにする。そのうえで、その理論モデルにおいて尊厳が絶対的価値を持ちえるのか、それが可能であるとしたら、そのことにいかなる意味があるのかを明らかにすることを目指す。また、2023年度と同様に、定期的にワークショップやシンポジウムを開催し、外部の知見をも導入するとともに、研究のネットワークづくりにも注力する。
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