研究領域 | メゾヒエラルキーの物質科学 |
研究課題/領域番号 |
23H04876
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅱ)
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
羽會部 卓 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (70418698)
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研究分担者 |
石橋 千英 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 講師 (10506447)
河合 壯 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (40221197)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
139,880千円 (直接経費: 107,600千円、間接経費: 32,280千円)
2024年度: 27,040千円 (直接経費: 20,800千円、間接経費: 6,240千円)
2023年度: 29,120千円 (直接経費: 22,400千円、間接経費: 6,720千円)
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キーワード | 分子集合体 / シグナル増幅 / メゾスケール / 光機能性材料 / シグナル伝達 |
研究開始時の研究の概要 |
生体系のシグナル伝達ではたった1つの刺激に対して数百万倍のシグナル分子を反応・応答させることができる。一方、人工分子では1回の刺激(例えば1光子)によって1分子のみ反応するため増幅分子応答系を人工的に構築することは極めて困難である。本研究では自在に制御可能なメゾスケール特有の階層集合体を利用することで光励起を基盤としたシグナル増幅を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では生体系のシグナル伝達を参考に、自在に制御可能なメゾスケール特有の階層集合体を利用することで光励起を基盤としたシグナル増幅を目指す。2023年度は光機能化の基盤となる一重項分裂および酸化連鎖異性化反応に関連した材料合成(低分子系)を進めた。成果の一例として、研究代表者の羽曾部は高効率一重項分裂の発現を視野に、シクロファンやフェロセンで架橋したアセン二量体を合成と励起ダイナミクス評価を行った。特に、領域内共同研究としてA03-2班の相良らと取り組んだシクロファンで架橋したテトラセン二量体では、機械的刺激による発光と一重項分裂の制御を視野に、リンカー鎖長の異なる二つの分子(二量体)について検討した。理論計算や核磁気共鳴分析によりリンカー鎖長の違いによるテトラセン間の相互作用が明らかとなった。次に、リンカー鎖長の短い系では励起錯体に関与する発光シグナルが顕著に表れたのに対し、リンカー鎖長の長い系では発光シグナルが抑制され、一重項分裂の進行が期待される結果となった。一重項分裂の進行の直接観測のため、フェムト秒およびピコ秒の過渡吸収測定をテトラヒドロフラン溶液中で行った。グローバル解析の結果、リンカー鎖長の長い系では励起錯体に関与する発光過程が大幅に抑えられ、独立した励起三重項状態の生成が明らかとなった(三重項量子収率:108%)。 分担者の河合はフォトクロミック系分子を中心とした材料合成を進めた。また、分担者の石橋はパルスレーザーを用いた分子集合体構造のサイズ制御と光物性評価を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
光励起を基盤としたシグナル増幅のための分子設計や合成が順調に進んでいるため。
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今後の研究の推進方策 |
研究代表者の羽曾部や分担者の河合(NAIST)は年次計画に沿って複数の系で分子設計・合成を進めており、メゾスケール特有の階層集合体を順次構築していく。その過程で時間分解レーザー分光を専門とする石橋(愛媛大)との班内連携で励起ダイナミクスを明らかにするだけでなく、班間連携も活用してメゾヒエラルキー特有の光機能を明らかにしていく。
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