研究領域 | メゾヒエラルキーの物質科学 |
研究課題/領域番号 |
23H04877
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅱ)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
雲林院 宏 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (40519352)
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研究分担者 |
平井 健二 北海道大学, 電子科学研究所, 准教授 (10754400)
五月女 光 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 助教 (60758697)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
160,680千円 (直接経費: 123,600千円、間接経費: 37,080千円)
2024年度: 26,130千円 (直接経費: 20,100千円、間接経費: 6,030千円)
2023年度: 44,720千円 (直接経費: 34,400千円、間接経費: 10,320千円)
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キーワード | 強結合 / メゾスケール化学 / ナノスケール分光 / プラズモニクス / 時間分解分光 / 光強結合 / 高速分光 / ナノスコピー |
研究開始時の研究の概要 |
メゾスケールで自在に形状変形が可能なソフトマテリアルの光科学的性質を自在に操ることができれば、ナノからマイクロを繋ぐ新たなオプト・エレクトロニクスが拓かれ、エネルギー・環境分野などに多大なインパクトを与えうる。本研究では、独自の10 nmリモート励起法で未踏のメゾスケール励起子ダイナミクスを紐解く計測技術を開発し、さらにメゾスケール励起子をマイクロメートルスケールにまで拡張する手法を発信する。
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研究実績の概要 |
本計画研究では、研究代表者が開発した10 nmリモート励起法を利用し、未踏のメゾスケール励起子ダイナミクスを紐解く計測技術を開発し、さらにはメゾスケール励起子をマイクロメートルスケールにまで拡張する手法を発信する。それにより、「メゾヒエラルキー光科学」の礎を世界に先駆けて確立することを目標としている。 2023年度は、分布ブラッグ反射型(DBR)ミラーを用いた光共振器の作製方法を構築した。特定の波長のみを反射するDBRミラーを用いることで、分子の励起と発光の観測が可能となる。この光共振器の中に蛍光分子を導入すると励起子強結合の状態になり、ポラリトン準位が生成される。共振器内の分子が強結合の状態にあるかどうかの判断には、反射率や発光スペクトルの入射角依存性によるポラリトンの分散関係の評価が必須であり、顕微鏡下でこれを計測できるフーリエ面イメージング装置を新たに開発した。実際に、共振器内に蛍光分子を導入した系の分光測定を行ったところ、下枝ポラリトン準位からの発光を観測することに成功し、ポラリトンレージングの観測が可能な試料作製方法が確立できたと考えられる。 上記の強結合系の構築に並行し、共振器に導入する超分子集合体や金属有機構造体の基礎的光物性の評価・スクリーニングのために、領域内共同研究を展開した。本領域を象徴する千葉大矢貝らのメゾスケール超分子ポリマー中の励起子ダイナミクスに注目し、東工大Vachaらと共同で、種々の時間分解・顕微分光を用いメゾスケールトポロジーと発光特性の相関を明らかにした。これを含めて多数の領域内共同研究を推進し、うち2件について論文化した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
蛍光分子を用いた励起子強結合の試料作製とポラリトン発光の測定系は確立できており、ポラリトンレーザーの観測に向けた実験系は立ち上がった。また、共振器内に導入する超分子集合体についても、種々の時間分解分光を用いて光物性の評価・スクリーニングを進め、ポラリトンレーザーの実現に求められる試料系の要件を見出すことができた。更に、高空間分解能でのエキシトン解析のため、リモート励起近接場顕微鏡を立ち上げた。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、蛍光分子を含む超分子集合体や金属有機構造体を用いた励起子強結合の試料作製を行う。分子集合による高濃度化、規則構造による効率的な強結合状態を達成し、ポラリトン準位を利用した光物性の評価を行う。さらに、前年度までに製作した顕微分光装置を用いて、発光挙動の励起波長及び光強度依存性の測定から、ポラリトンレーザーの発振を評価する。時間分解分光を用いた試料系の評価・スクリーニングについても継続して行うとともに、有望な超分子集合体を選定して、共振器内に導入しポラリトンレーザーの発振を試みる。また、2024年度より公募班も本領域に参画するため、公募班の研究者らとも有機的に連携し、メゾ強結合を実現するための領域内共同研究を推進する。
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