研究領域 | 天然物が織り成す化合物潜在空間が拓く生物活性分子デザイン |
研究課題/領域番号 |
23H04884
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅱ)
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
荒井 緑 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (40373261)
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研究分担者 |
岩月 正人 北里大学, 感染制御科学府, 教授 (70353464)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
136,240千円 (直接経費: 104,800千円、間接経費: 31,440千円)
2024年度: 24,180千円 (直接経費: 18,600千円、間接経費: 5,580千円)
2023年度: 33,280千円 (直接経費: 25,600千円、間接経費: 7,680千円)
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キーワード | 天然物 / 微生物 / ライブラリー / がん / 神経再生 |
研究開始時の研究の概要 |
本計画研究では、オリジナルの天然物探索法と微生物休眠遺伝子活性化法を用いて、放線菌・真菌等の微生物からの構造多様性に富む天然物取得とその生物活性評価を行い,化合物潜在空間を構築するためのデータとする。また、本研究班では、独自のアッセイ系によりタンパク質-タンパク質相互作用に影響する天然物を見いだしているため、それらを化合物潜在空間に導入し、新たにより簡略化された化合物を新規にデザインする。それらをタンパク質とのドッキングシュミレーションにより評価し、結合が強いと予想される化合物を有機合成により合成し、その生物活性を評価することにより、医薬に通ずる生物活性化合物を創出する。
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研究実績の概要 |
本計画研究では,化合物潜在空間を構築する天然物の集積のため,オリジナルの天然物探索法と微生物休眠遺伝子活性化法を用いて,放線菌・真菌等の微生物からの構造多様性に富む天然物取得とその生物活性評価を行った.日本屈指の大村天然物ライブラリーに加え,タンパク質ビーズによる活性天然物の釣り上げ法,異種生体間相互作用を模した微生物―動物細胞共培養法は,いずれも我々オリジナルの世界唯一の天然物取得法である.得られた構造多様性天然物は我々独自の生物活性評価に付し,そのデータはB01班による計算科学による化合物潜在空間の構築と深化に使用する. 本年度は,休眠遺伝子活性化においては病原真菌に着目し,当研究室で開発した動物細胞との共培養を用いて新規天然物の取得に成功した.その化合物の生物活性評価により,免疫抑制作用,またオートファジー制御作用を見いだした.さらに,化合物の生成メカニズム解析,化合物の生合成メカニズムを明らかにした.また,麹カビと動物細胞との共培養での共培養特異的増強化合物の取得とその生成メカニズム解析を行った.また,ヒートショックによる休眠遺伝子活性化法も開発している.本年度は2種の放線菌株におて,高温培養特異的に生産される新規天然物を単離・構造決定し,それらが放線菌の高温耐性に寄与していることを見いだした. またアミロイドβを分解する酵素の発現上昇活性を評価する細胞アッセイ系を構築し,大村天然物ライブラリー約800種のスクリーニングを行った.これらの構造と生物活性を紐付けて,B班の情報解析班に供与し,化合物潜在空間のアップグレードを行う予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,休眠遺伝子活性化においては病原真菌に着目し,当研究室で開発した動物細胞との共培養を用いて新規天然物の単離・構造決定に成功した.絶対配置は計算科学とCDにより決定した.その化合物の生物活性評価により,マクロファージからの一酸化窒素(NO)生成の抑制作用,NOの生産酵素であるiNOSの発現抑制,インターロイキンのmRNAレベルでの生産抑制作用を見いだした.またオートファジー制御作用を見いだしており,現在,さらにWestern blotで検証中である.さらに,本病原真菌が細胞の何に反応して化合物を生産しているのか,その生産メカニズム解析に成功した.また本化合物は天然物としての単離が初であり,化合物の生合成メカニズムを生合成クラスタータンパク質を発現,中間体を化学合成することで,vitro実験を行い,明らかにした.このように休眠遺伝子活性化による新規天然物取得は順調に進んでおり,その生物活性も明らかにしている. さらにアミロイドβを分解する酵素の発現上昇活性を評価する細胞アッセイ系を構築し,大村天然物ライブラリー約800種のスクリーニングを行った.ヒット天然物の取得に成功しており,現在,再現性を確認している. さらに合成展開では,新規天然物様スピロ化合物を合成展開し,Notchシグナル阻害活性を見いだした.神経幹細胞でNotchの下流のHes1の発現を阻害していることから,神経幹細胞のニューロンへの分化活性化能が見込まれ,実際にマウス神経幹細胞C17.2細胞のニューロンへの分化を劇的に活性化した.また,共同研究により,神経変性疾患モデルマウスで四肢マヒの改善効果があることを確認した.
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今後の研究の推進方策 |
申請者は,従来に無い視点での天然物単離法を開発することで,まだ世にない新規構造を有する天然物を発掘できるのではないか,と考えた.そして,これまでにオリジナルの天然物探索法および微生物の休眠遺伝子活性化による新規天然物取得に成功してきた.本計画研究では,(1)生物活性に重要な転写因子を担持したタンパク質ビーズを用いる天然物釣り上げ法,(2)病原微生物と免疫細胞の相互作用を模倣した微生物―動物細胞共培養による微生物の休眠遺伝子活性化法を用い,微生物(放線菌・真菌)より,構造多様性天然物を取得する.そして研究分担者岩月による大村天然物ライブラリーとともに,独自の18種を超える活性評価に付し,化合物構造と活性のデータを収集し,B01班に供する. 今後は,休眠遺伝子活性化においてはヒト由来細菌(腸内細菌,皮膚細菌等)に着目し,当研究室で開発した動物細胞との共培養を用いて新規天然物の取得を目指す.得られた天然物は種々生物活性評価を行う.また,ヒートショックで休眠遺伝子活性化が行える方法も開発しており,熱耐性放線菌から得られた高温培養特異的天然物についても単離・構造決定,生物活性評価を行う. さらに本計画研究は,アップグレードした化合物潜在空間を用いて,タンパク質翻訳開始因子eIF4AとRNAの両方に結合しがんに関わるタンパク質Ascl1を発現阻害するロカグラミド分子の簡略化化合物をデザインし,合成,活性評価を試みる.
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