研究領域 | 冬眠生物学2.0:能動的低代謝の制御・適応機構の理解 |
研究課題/領域番号 |
23H04942
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅲ)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
岡松 優子 北海道大学, 獣医学研究院, 教授 (90527178)
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研究分担者 |
山内 彩加林 北海道大学, 低温科学研究所, 助教 (00951394)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
84,110千円 (直接経費: 64,700千円、間接経費: 19,410千円)
2024年度: 15,470千円 (直接経費: 11,900千円、間接経費: 3,570千円)
2023年度: 20,800千円 (直接経費: 16,000千円、間接経費: 4,800千円)
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キーワード | 冬眠 / 褐色脂肪 / 白色脂肪 / 組織リモデリング / 臓器連関 |
研究開始時の研究の概要 |
脂肪組織は、エネルギー貯蔵と非ふるえ熱産生を担う哺乳類動物の冬眠に必須の組織である。脂肪組織が寒冷などの環境に応じて機能を変化させるリモデリングは、全身の熱産生を増加させるのみならず、分泌因子を介した全身代謝制御機構としても重要である。しかし、冬眠における臓器連関の研究は少ない。本研究では冬眠動物と非冬眠動物の比較により脂肪組織のリモデリングや臓器連関の差異を解明し、冬眠発動における役割を明らかにすることを目的としている。
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研究実績の概要 |
脂肪組織は、エネルギー貯蔵と非ふるえ熱産生を担う哺乳類動物の冬眠に必須の組織である。脂肪組織が寒冷などの環境に応じて機能を変化させるリモデリングは、全身の熱産生を増加させるのみならず、分泌因子を介した全身代謝制御機構としても重要である。本研究では、冬眠発動における脂肪組織とそのリモデリングの役割を明らかにすることを目的に、まず「発達期環境が後年の脂肪組織リモデリング能を規定する」現象の分子基盤を、非冬眠哺乳類マウスと冬眠哺乳類ハムスターそれぞれで同定し、その差異を検証する。次に、脂肪組織とそのリモデリングが冬眠発動に与える影響と、その機序として末梢と中枢をつなぐ臓器連関メカニズムを明らかにする。 今年度は冬眠誘導を行う施設のセットアップと最適な冬眠誘導条件の検討を行うとともに、発達期のハムスターに異なる飼料を与え、冬眠を誘導した。現在、冬眠発動率を調べるとともに、今後網羅的解析を行うための組織サンプルを採取している。マウスにおいては、授乳期に高脂肪食を摂取した母親の子では白色脂肪組織のベージュ誘導量が減少した。腸内細菌の構成が変化し、胆汁酸合成や血中濃度が減少した。抗生剤投与により腸内細菌を消失させるとベージュ脂肪細胞量が減少したが、正常マウスの腸内細菌を移植すると回復したため、腸内細菌の変化がベージュ脂肪細胞誘導能を低下させると考えられた。腸内細菌と脂肪組織リモデリングをつなぐメカニズムとして、胆汁酸と短鎖脂肪酸の役割を明らかにするために、各受容体欠損マウスを作出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通り冬眠誘導を行う施設のセットアップが完了し、冬眠誘導実験を開始している。マウスにおいては、発達期の栄養環境が脂肪組織リモデリングに影響をあたえるメカニズムの検討に進んでおり、概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
発達期の栄養環境が冬眠発動率に与える影響を調べるとともに、脂肪組織を含む代謝関連臓器の遺伝子発現や脂質組成の変化を網羅的解析により明らかにする。マウスにおいては、発達期の栄養環境が脂肪組織リモデリングに影響を与えるメカニズムとして、腸内細菌と脂肪組織をつなぐメカニズムを検討する。
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