研究領域 | 動的な生殖ライフスパン:変動する生殖細胞の機能と次世代へのリスク |
研究課題/領域番号 |
23H04948
|
研究種目 |
学術変革領域研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅲ)
|
研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
北島 智也 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, チームリーダー (00376641)
|
研究分担者 |
中條 佳見 (河村佳見) 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 助教 (20505044)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
235,300千円 (直接経費: 181,000千円、間接経費: 54,300千円)
2024年度: 44,720千円 (直接経費: 34,400千円、間接経費: 10,320千円)
2023年度: 45,110千円 (直接経費: 34,700千円、間接経費: 10,410千円)
|
キーワード | 卵子 / 染色体 / 生殖 / 老化 |
研究開始時の研究の概要 |
ライフ時間進行に伴う卵母細胞の染色体分配エラーは、卵子の染色体数異常をもたらすことで生殖ライフスパンを規定する。しかし、ライフ時間の進行がどのように染色体分配エラーを引き起こすのかは分かっていない。本研究では、マウス卵母細胞をモデルに①成体期を通した卵母細胞の染色体機能の維持と破綻の解明、②栄養環境による染色体機能の制御の解明、③各染色体の「個性」を介した分配エラーの解明、④染色体分配エラーの防止技術の開発を行う。さらに、分担者と共同で⑤ライフ時間進行が遅いハダカデバネズミを用いた卵母細胞研究を開拓する。
|
研究実績の概要 |
ライフ時間の進行が卵母細胞における染色体分配エラーを引き起こすメカニズムを明らかにするために、以下の実験を行った。 まず、マウス卵母細胞においてライフ時間の進行とともに染色体上の量が変動する因子について、卵母細胞特異的に人為的に量を変動させることができる遺伝子改変マウスを確立した。これらの卵母細胞をin vitro培養する系を用いて、定量的抗体染色法による解析を確立した。併せて、卵母細胞に蛍光マーカータンパク質をコードするRNAを注入する系を用い、ライブイメージングを行った。三次元での染色体追跡を含め、染色体動態の特徴を定量的に記述するための解析パイプラインを構築した。 また、マウス卵母細胞において各染色体を個別にラベリングしてライブイメージング解析する系を確立した。CRISPR-dCas9を用いて染色体特異的な内在性DNAリピートを可視化させる技術について材料と条件の検討を重ね、これまでにすべての常染色体とX染色体の個別ラベリングを達成した。これまでに確立していた全染色体の三次元完全追跡技術と、各染色体の同定・追跡解析技術を統合することにより、各染色体の動態を定量的に解析するための解析パイプラインを確立した。正常な染色体分配に至るまでの各染色体の時空間経路の解析についてはすでに解析を一部完了しており、それらをまとめて論文を投稿した。 さらに、ハダカデバネズミを用いた生殖細胞研究の開拓のため、卵母細胞・卵子・受精卵の採取・培養および胚移植法の開発に着手した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
マウス卵母細胞においてライフ時間の進行とともに染色体上の量が変動する因子については、計画通り、卵母細胞特異的に人為的に量を変動させることができる遺伝子改変マウスを確立した。また、各染色体の個別ラベリング技術については、当初の計画どおり技術確立するのみならず、計画以上に進展し、正常な染色体分配へ至る時空間経路の解析を一部完了して論文投稿まで至った。
|
今後の研究の推進方策 |
マウス卵母細胞においてライフ時間の進行とともに染色体上の量が変動する因子について、確立した遺伝学改変マウスと解析パイプラインを用いて、染色体因子の量を人為的に変動させた卵母細胞と、老化した卵母細胞の間で、染色体動態の特徴比較を行う。 また、マウス卵母細胞において確立した各染色体を個別にラベリングしてライブイメージング解析する系をさらに向上させる。各染色体を網羅的に追跡解析することで、染色体分配エラーに至るまでの時空間経路を見出す。 さらに、ハダカデバネズミを用いた生殖細胞研究の開拓のため、卵母細胞・卵子・受精卵の採取・培養法の最適化および受精卵の遺伝子改変法の開発に着手する。
|