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次世代のためのミトコンドリア継承

計画研究

研究領域動的な生殖ライフスパン:変動する生殖細胞の機能と次世代へのリスク
研究課題/領域番号 23H04951
研究種目

学術変革領域研究(A)

配分区分補助金
審査区分 学術変革領域研究区分(Ⅲ)
研究機関筑波大学

研究代表者

石川 香  筑波大学, 生命環境系, 准教授 (40734827)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2028-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
105,300千円 (直接経費: 81,000千円、間接経費: 24,300千円)
2025年度: 18,590千円 (直接経費: 14,300千円、間接経費: 4,290千円)
2024年度: 18,850千円 (直接経費: 14,500千円、間接経費: 4,350千円)
2023年度: 30,160千円 (直接経費: 23,200千円、間接経費: 6,960千円)
キーワードミトコンドリア / 卵成熟 / 突然変異 / mtDNA / 消失 / 変異型mtDNA / 卵胞 / 生殖系列 / 配偶子形成 / ミトコンドリアDNA / 淘汰
研究開始時の研究の概要

本研究課題では、変異型mtDNAが消失するしくみを解明して、mtDNAが次世代にどのように安定的に伝達され、維持されているのかを理解することを目指す。母性遺伝であるmtDNAの質は、次世代の安定的な発生や成長を担保する重要な要素であるにもかかわらず、mtDNAに人為的な変異を導入することが困難であることから、逆遺伝学的な検証がほとんど行われていない。申請者の変異型mtDNAを有するマウスはその検証を可能にする極めて魅力的なツールである。本研究はこのツールを活用して、次世代におけるミトコンドリアゲノムの安定性という独自の視点から生殖ライフスパンの維持や調節の機構を理解することに貢献する。

研究実績の概要

突然変異型mtDNAが雌マウスの加齢に従って次世代に伝わりにくくなる現象のメカニズム解明を目指し、以下の実験を行った。
①卵巣の組織学的解析:様々な日齢のマウスの卵巣を摘出し、中心付近を連続切片にして原始卵胞~成熟卵胞までの数をカウントした。野生型と変異型mtDNAを有するマウスとの間で、どの時点でも卵胞の数に有意差はなかった。このことから、変異型mtDNAを有することによってある決まった時期に特定の成熟段階で一斉に卵胞が消滅したり、成熟が進まなくなってあるステージのものが増えたりするといった現象は起きていないと考えられた。
②単一卵細胞の変異型mtDNA含有率の定量:様々な日齢のマウスの卵巣を酵素によって分散し、様々な発達段階の卵細胞を一つずつ採取して、個々の卵細胞に含まれる変異型mtDNAの割合を定量した。その結果、変異型mtDNAはマウスの日齢に伴って減少していく傾向が認められたが、未成熟な小さい卵と、成熟が進んだ大きい卵では、減少の傾向が異なっていた。このことは、未成熟卵と成熟卵では異なる機構によって変異型mtDNAの割合が制御されている可能性を示唆している。
これらの結果を受け、日齢ごとに未成熟卵と成熟卵で遺伝子発現パターンが異なっている可能性を考慮し、今後はSingle cell RNAseqによる遺伝子発現解析を実施する予定である。
また、mtDNAがオルガネラレベルで除去されている可能性を検証するためのオートファジー頻度の検証にも一部着手した。今後、実験系を確立して再現性の高い条件で比較検討を行っていきたい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

未成熟卵と成熟卵で異なる機構が作用している可能性に行きつけたという点は大きな進捗である。成体期以降の雌マウスの卵巣は幼若マウスのものと比較して分散がしにくく、特に未成熟卵の単離・解析が技術的に困難であるが、顕微鏡下Hand pickによってその課題を何とか解決できた点も大きい。本研究は変異型mtDNAを有するマウスの準備が律速になる部分もあり、なかなかスピーディに進めるのが困難であるが、今後も地道に着々と進めていきたい。

今後の研究の推進方策

まずは様々な日齢の卵巣から得た未成熟卵・成熟卵の遺伝子発現をSingle cellレベルで比較することを目指す。年度末に実施したPilot試験では、特に未成熟卵の扱いと回収に大きな課題があることがわかった。その解決は容易ではないと考えているが、何とか解析可能なレベルまで実験系を構築し、今年度中の解析実施を目指したい。
さらに、mtDNAが分子レベルで何らかの方法によって識別されている可能性を検討するために、mtDNAの調節領域であるD-loop領域の配列を比較する予定である。
変異型mtDNAがオルガネラレベルで除去されている可能性を検証するため、オートファジー頻度の検証も実施していく。

報告書

(1件)
  • 2023 実績報告書
  • 研究成果

    (11件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Large-scale animal model study uncovers altered brain pH and lactate levels as a transdiagnostic endophenotype of neuropsychiatric disorders involving cognitive impairment2024

    • 著者名/発表者名
      Hideo Hagihara、Takao Keizo、他129名
    • 雑誌名

      eLife

      巻: 12 ページ: 89376-89376

    • DOI

      10.7554/elife.89376

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] マウス卵細胞からの変異型ミトコンドリアDNA消失機構の解明を目指して2024

    • 著者名/発表者名
      石川香
    • 学会等名
      第4回有性生殖研究会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] モデルマウスを用いた「老化ミトコンドリア(mtDNA)原因説」の再検証2023

    • 著者名/発表者名
      玉城大敬、石川香、中田和人
    • 学会等名
      第46回日本分子生物学会年会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] マウス逆遺伝学的手法を用いた「老化ミトコンドリア(mtDNA)原因説」の検証2023

    • 著者名/発表者名
      玉城大敬、石川香、中田和人
    • 学会等名
      第22回日本ミトコンドリア学会年会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] ミトコンドリア病MELASのモデルマウス作出に向けた基礎研究2023

    • 著者名/発表者名
      永田留理、日比保乃郁、石川香、中田和人
    • 学会等名
      第22回日本ミトコンドリア学会年会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] ミトコンドリア機能異常によって誘発された筋委縮における持久性運動の効果2023

    • 著者名/発表者名
      花田翔、白井隆長、石川香、武政徹、中田和人
    • 学会等名
      第22回日本ミトコンドリア学会年会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] ミトコンドリアDNAの突然変異ががんの性質に与える影響2023

    • 著者名/発表者名
      齊藤さくら、中田和人、石川香
    • 学会等名
      第22回日本ミトコンドリア学会年会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] Nuclear-mitochondrial sequenceの分類学への応用2023

    • 著者名/発表者名
      井上聡、石川香、中田和人
    • 学会等名
      第22回日本ミトコンドリア学会年会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] 加齢に伴うミトコンドリアDNAの遺伝様式の変化2023

    • 著者名/発表者名
      石川香、安原菜々子、伊藤香菜子、佐々木悠馬、林克彦、中田和人
    • 学会等名
      第46回日本分子生物学会年会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] Generation and Pathogenic Analyses of Mice with a Mutation in the tRNALeu(UUR) Gene2023

    • 著者名/発表者名
      Kaori Ishikawa, Haruna Tani, Fan-Yan Wei, and Kazuto Nakada
    • 学会等名
      The Cold Spring Harbor Asia conference on Mitochondria and Metabolism in Health and Disease
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [備考] 筑波大学生命環境系 中田・石川研究室HP

    • URL

      https://www.biol.tsukuba.ac.jp/nakada_ishikawa/index.html

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書

URL: 

公開日: 2023-04-13   更新日: 2025-04-17  

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