計画研究
学術変革領域研究(A)
本研究は、植物が大気に放出する揮発性有機化合物(BVOC)の実態・動態、およびBVOCを介した植物と気候の相互作用を全球規模で解明・予測するものである。本課題では、研究代表者・分担者らが独自に開発を行ってきた、大気化学・エアロゾル・気候モデル、陸域生態系モデル、衛星・地上リモートセンシング、および大気化学データ同化システムなど最新の研究手法を駆使し、他計画研究班の植物フェノロジー・BVOC放出の観測と密に連携しながら多元的・包括的なモデリング・評価を行うことで、高精度なBVOC発生量推定を実現させる。
1) CMIPモデル実験における過去160年間のBVOC変動要因の解析本課題のメインツールであるVISITに加え、最新のIPCC/CMIP6の地球システムモデル中の計算スキームも含めた相互検証(1850-2014年対象)を実施した(Do et al., 2025)。この結果、CO2濃度上昇(co2)、気象変数(気温・降水量)変動(clim)、土地利用変化(lulcc)などがBVOCs放出量の長期変動に大きく関与していることがわかった。ただし、CO2影響については、用いるエミッションスキームによって、イソプレン放出量の増加トレンドに寄与する群(MEGANタイプ)と、減少トレンドを引き起こす群(iBVOCタイプ)の2通りが確認され、CO2応答関数妥当性のさらなる検証の必要性が示唆された(本課題では、HCHO衛星観測を指標に用いた検証をすでに開始している)。さらに、BVOC変動がおよぼす気候影響を検討するため、過去のBVOC長期変動が全球気候変動に与える影響の評価実験も継続的に実施している。2) 地上・衛星観測による多重検証世界各地で観測・報告されているイソプレン、モノテルペン類などのBVOCsのフラックス・濃度のデータに加え、中間生成物であるホルムアルデヒド(HCHO)の全球分布の衛星観測(OMI、TROPOMI)データを収集・活用し、陸域生態系微量ガス交換モデルVISITと化学気候モデルで計算されるBVOCやHCHOの評価を継続的に実施している。さらに、データ同化システム(CHASER-DAS)を用いたBVOC放出量の逆推定を導入し、初期的な解析を実施している
2: おおむね順調に進展している
BVOC放出分布推定や既存インヴェントリの再検討について、各種データやモデル計算・データ同化手法を併用した検証が予定通り進められた。このなかでは、CO2濃度上昇にともなうイソプレン放出の抑制(阻害)効果が確認され、衛星データを用いた検証を進めるとともに、他班で実施している応答実験の結果とも融合を開始している。
BVOCの現場観測によるモデル検証や、室内実験によるBVOC放出の応答関数の修正や新規スキームの構築などについて、他班(計画・公募)との連携により進める。また、これまでとくに注目しているイソプレン以外のBVOC成分に拡大した検討を可能な限り行う。
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (17件) (うち国際共著 14件、 査読あり 17件、 オープンアクセス 16件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件) 学会・シンポジウム開催 (1件)
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