| 研究領域 | 膜透過学:膜モジュレータ分子が拓く核酸医薬の細胞膜透過の実証と理解 |
| 研究課題/領域番号 |
24H00840
|
| 研究種目 |
学術変革領域研究(B)
|
| 配分区分 | 補助金 |
| 審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅱ)
|
| 研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
大澤 昂志 大阪大学, 大学院薬学研究科, 助教 (00783226)
|
| 研究分担者 |
笠原 勇矢 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, 医薬基盤研究所 創薬デザイン研究センター, 副センター長 (10740673)
|
| 研究期間 (年度) |
2024-04-01 – 2027-03-31
|
| 研究課題ステータス |
交付 (2025年度)
|
| 配分額 *注記 |
64,350千円 (直接経費: 49,500千円、間接経費: 14,850千円)
2025年度: 20,670千円 (直接経費: 15,900千円、間接経費: 4,770千円)
2024年度: 22,880千円 (直接経費: 17,600千円、間接経費: 5,280千円)
|
| キーワード | 膜モジュレータ / 核酸医薬 / 細胞膜透過 / 人工核酸 |
| 研究開始時の研究の概要 |
各研究班と密に連携して、我々の核酸の化学修飾技術と“細胞膜をゆらす”ことで膜透過を誘導する新概念を融合した核酸医薬を世界に先駆けて創製する。具体的には、B01班 (三木) が開発する膜モジュレータ分子の膜透過誘導能を核酸医薬の薬効を指標に評価し、C01班 (川口)、 D01班 (篠田) と連携して、実験と理論の両面から膜モジュレータ分子の機能、核酸の膜透過現象について理解を深める。また我々独自に、核酸医薬の膜透過能の向上するリン酸部修飾核酸を探索するため、オリゴ核酸中のリン酸部ピンポイント修飾法を開発し、化学構造に基づいて核酸医薬の膜透過能を向上する分子設計理論の構築を目指す。
|
| 研究実績の概要 |
アンチセンス核酸(ASO)に代表される核酸医薬は新しい創薬モダリティとして注目されている一方で、核酸医薬の細胞膜透過率は0.1%程度とも言われ、その実用化を促進するためには核酸に適した薬物送達システム(DDS)の整備が必要不可欠である。そこで本研究では、核酸医薬の膜透過現象の本質を理解し、核酸医薬のDDS基盤技術の確立につながるような概念を提唱、実証することを目的に、“細胞膜をゆらす”ことで膜透過を誘導する膜モジュレータと我々の核酸の修飾技術を融合した核酸医薬を創製する。また、膜透過能を向上するリン酸部修飾核酸を独自に開発し、核酸医薬の構造と膜透過能の相関解明を目指す。 令和6年度はリン酸部にカルボキシメチル基を有するホスホノアセタート(PACE)修飾オリゴ核酸と水溶性の縮合剤DMTMMを用いてオリゴ核酸中のPACEのアミド化検討を行った。種々検討の結果、pH 7.5のEPPS緩衝液中でPACE修飾オリゴ核酸とDMTMM、アミン類を混合することで、PACE部位選択的にアミド化することができた。本反応におけるアミン類の基質一般性は高いことが明らかになった。また、合成したアミド化PACE修飾オリゴ核酸が標的RNAと形成する二重鎖の熱安定性を評価した結果、アミド化PACEは天然のDNAに匹敵するRNA結合親和性を有することが明らかになった。 また、細胞内への導入方法の違いがASOの有効性に与える影響を精査し、新たな膜透過方法の有用性を評価するための基礎データを取得した。また、ASOの物性予測モデルを構築するとともに、ASOの活性に寄与する新たな因子としてRNA切断後の置換速度が重要であることを明らかにした。さらに、核分画技術を応用した選別方法によって、培地に添加するだけで核まで移行するアプタマー(核移行性アプタマー)を開発した。
|
| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
年度内にPACEをアミド化する方法を確立でき、膜透過性のリン酸部修飾核酸を探索するための基盤を構築することができた。また、アミド化PACE修飾オリゴ核酸の合成から基礎物性評価に至る一連の研究成果については現在、学術論文を準備中である。このように概ね計画通りに研究は進展している。
|
| 今後の研究の推進方策 |
核酸医薬のリン酸部修飾の構造と膜透過性、活性等の相関を明らかにするための共同研究を推進する。核酸医薬の標的は所属研究室でプロトコルが確立されている脂質異常症の治療標的ApoBを想定しており、ApoB mRNAに対する核酸医薬を合成しPACEをアミド化する。先述の通り、核酸医薬の構造・膜透過性の関係を知るため、PACEは核酸医薬中のリン酸部に網羅的に導入する。また、アミド化に用いるアミンは現状、膜を構成するリン脂質と疎水性相互作用する長鎖アルキル基を有するアミン類を想定している。オリゴ核酸の膜透過能は川口と連携して評価、オリゴ核酸の膜透過現象を篠田と連携して解析する。これにより核酸の膜透過様式を理解し、核酸医薬の細胞膜透過能を向上するリン酸部修飾の設計指針を得る。合成した核酸医薬はヒト肝細胞由来細胞Huh-7に処理し、ApoB mRNAの発現量を指標に活性を評価する。 また、細胞内導入方法の違いやASOの物性がASOの有効性に与える影響を引き続き精査することで、新たな膜透過方法の有用性を評価するための基礎データを取得するとともに、開発した核移行性アプタマーのメカニズム解明とDDSキャリアとしての有用性を評価していく予定である。
|