研究課題/領域番号 |
00F00037
|
研究種目 |
特別研究員奨励費
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 外国 |
研究分野 |
固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
瀧川 仁 東京大学, 物性研究所, 教授
|
研究分担者 |
VYASELEV Oleg. M 東京大学, 物性研究所, 外国人特別研究員
VYASELEV O. M.
|
研究期間 (年度) |
2000 – 2002
|
研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
|
配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
2002年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2001年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
|
キーワード | 強相関電子系 / 核磁気共鳴 / パイロクロア酸化物 / 磁気的フラストレーション |
研究概要 |
今年度は主として、強い磁気的フラストレーションで知られているパイロクロア型酸化物の中でもCd_2Re_2O_7について構造相転移に伴う電子状態の変化を、CdサイトとReサイトの核磁気共鳴(NMR)を観測することにより微視的に観察した。Cd_2Re_2O_7は物性研究所・廣井研究室においてパイロクロア型酸化物として初めて超伝導を示すことが発見され、また昨年度の本研究によってそれが等方的s波状態であることが明らかにされ、注目を集めている。この物質は、高温では理想的なパイロクロア構造をしているが、200Kと120Kにおいて逐次構造相転位を示す。これらの転位における構造変化の解明、それに伴う電子状態の変化を知ることは、転位のメカニズムや超伝導との関係を知る上で重要である。本研究では単結晶を用いた精密なNMR実験において、CdサイトのNMRスペクトルの磁場方向依存性を解析した。その結果、200K以下においてパイロクロア格子を形成する正四面体が1軸状に連続的にひずみ、さらに120K以下においてひずみの方向が不連続に逆転することが見いだされた。これはその後行われたX線構造解析とも首尾一貫した結果となっている。さらに120K以下の低温相において、単結晶におけるRe核のNMRスペクトルを解析することにより、電場勾配テンソルと磁気的なシフトテンソルを異方性まで含めて完全に決定した。これらの結果をバンド構造に基づく計算結果と比較することにより、遍歴電子系における軌道秩序の可能性について知見が得られることが期待される。
|