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多体反応系の量子化学シミュレーション

研究課題

研究課題/領域番号 00F00304
研究種目

特別研究員奨励費

配分区分補助金
応募区分外国
研究分野 物理化学
研究機関大阪大学

研究代表者

山高 博  大阪大学, 産業科学研究所, 助教授

研究分担者 AMMAL Salai Cheettu  大阪大学, 産業科学研究所, 外国人特別研究員
AMMAL S. C.  
研究期間 (年度) 2000 – 2002
研究課題ステータス 完了 (2002年度)
配分額 *注記
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2002年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2001年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
キーワード量子化学シミュレーション / 分子動力学 / 化学反応経路 / 遷移状態 / 分子内転位反応 / 動力学駆動反応経路
研究概要

本プロジェクトは、既に我々のグループが開発を開始したab initio MDならびにQM/MM(pol-vib)-MD、を完成させ、それを用いてメゾスコピック化学反応系をナノレベルで解析する事を目的として開始した。
研究期間中に、ニトロアルカンの異常反応性、単純エノールの安定性、直線自由エネルギー関係則と遷移状態構造の相関性など幾つかの化学反応系について成果を上げたが、ここでは本研究期間中、量子化学シミュレーションによって得た最大の成果であるdynamics-driven reaction pathについて述べる。
Me_3C-CHMe-OH_2^+のピナコリル型分子内転位反応について、詳細な分子軌道法計算とab initio direct-MDシミュレーション計算を行った。その結果、分子軌道法計算では、遷移状態構造最適化、IRC計算、およびPESマップの検討によって、Meの転位とH_2Oの脱離が協奏的に起こる反応経路のみが存在することが示された。これに対し、MDシミュレーションでは、全く異なる反応のpictureを与えた。先ず、(1)反応始原系からのMDが遷移状態を越え生成物を与えること。(2)多くのトラジェクトリーでは、C-O結合の解裂のみが起こっていること。第2級カチオンの生成はスナップショットの構造やグループ電荷の変化から明らかであり、場合にもよるが3000fs以上の間、第2級カチオンの領域に存在する。ポテンシャルエネルギー面上では第2級カチオンは安定構造ではなく、上記のC-O結合解裂は単調なuphillであることを考えると、この第2級カチオンの生成はポテンシャルエネルギー面からの直接的な要請ではなく、反応の動的な性質に由来するものであると結論できる。一日生成したカチオンから出発物への復帰が存在することも、注目に値する。(3)生成物を与えるトラジェクトリーには2種類あること。一つはC-O結合の解裂とMe基の転位が協奏的に起こっているものであり、もう一つはC-O結合解裂によって生成した第2級カチオンからの転位によって生成物を与える、段階的機構に対応するようなトラジェクトリーである。これは、協奏的経路しか存在しないというMO計算による結論と対照的である。(4)最後に、生成物に至ったトラジェクトリーはMOで求めた遷移状態構造の付近を必ずしも通らない事も見出された。MeOCMe_2-CHMe-OH_2^+やPhCMe_2-CH_2-OH_2^+、Me_3C-CH_2-OH_2^+などの類似の反応系ではMO計算とシミュレーションの結果は一致することを見いだしたので、上記の特異な量子化学シミュレーションの結果はこの反応系の性質に由来するものと結論できる。我々が"dynamics-driven reaction path"と名付けたこの現象は、遷移状態のエネルギーが反応速度を決定し、IRCに代表されるminimum energy pathが典型的な反応経路であるとする、従来の反応論の概念を覆すものである。一定の条件が満たされた反応系では一般に起こりうると考えられ、より広範な研究への展開が期待される。なお、本結果は、雑誌SCIENCEに発表した。

報告書

(1件)
  • 2002 実績報告書
  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] Salai Cheettu Ammal: "Dynamics-Driven Reaction Pathway In An Intramolecular Rearrangement"Science. 299. 1555 (2003)

    • 関連する報告書
      2002 実績報告書

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公開日: 2001-04-01   更新日: 2024-03-26  

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