研究概要 |
我々は水中機能性固相担持不斉遷移金属錯体触媒の創製を目指し、すでにジヒドロキシ-ビナフチルの2,2'-、3,3'-、6,6'-の位置選択的な官能基化を達成し、これらの各位置での高分子レジンへの共有結合による固定化経路を見いだしている。高分子担体としては、将来の水中機能発現を期待し、両親媒性に富むポリスチレン-ポリエチレングリコール共重合体レジンを利用し、その部分構造末端をアミノ化することで,固相担持の足掛かりとしている。以前確立したビナフチル骨格の修飾手法を利用することでビナフチル骨格2位および6位での共有結合性担持にすでに成功している。ここでは同骨格6位への選択的ニトロ化、ハロゲン化、選択導入したハロゲノ基を足掛かりとした触媒的ヘック反応、などが鍵工程となった。また、固定化経路の検討と並行して、分子性ビナフチル(ビスオキサゾリン)-銅、パラジウム,ルテニウムの錯体を調製し、その種々の反応における触媒活性と立体選択性についての検討を進めてきた。上述のビナフチル骨格の固相固定化と連動することで立体選択的酸化反応を触媒する固相担持錯体の創製に成功した。またオキサゾリン型配位子部位の他に、トリアリールホスフィンの導入による固相担持不斉ホスフィン配位子の創製をもすでに実現している。
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