研究概要 |
海洋環境に豊富に生息し,炭素と硫黄循環に関連することが知られる円石藻および関連藻群の形態,遺伝子,生活史の多様性について,環境要因との関連性を併せて調査し,円石の形態変異と環境要因の間の相関を明らかにすることを目的として研究を実施した。研究期間中に得た主要な成果を以下に示す。 1.円石藻が優占する黒潮影響下の海域において調査・サンプリングを行い,Emiliania huxleyi, Gephyrocapsa oceanica, Calcidiscus leptoporus, Oolithotus fragilis, Umbilicosphaera sibogae var. sibogae, Umbilicosphaera sibogae var. foliosa, Ochrosphaera sp., Calyptrosphaera sphaeroidea,新種のハプト藻といった保存株を確立し,これらの安定した維持を可能とする培養条件を検討した。特に八丈島沿岸域で採取されたサンプルから,円石藻を含む多種多様な外洋性植物プランクトンが採取され,黒潮影響下にある島嶼において円石藻の研究に有用なサンプル収集が十分に可能であることが判明した。2002年つくばで開催された国際会議において,八丈島沿岸域における円石藻の多様性に関する研究発表を行い,現在論文をとりまとめているところである。 2.円石藻の一種Calyptrosphaera sphaeroideaをモデルケースとして,生活史に関する詳細な調査を行い,ホロコッコリスステージとヘテロコッコリスステージの誘導条件の解明および両ステージおよび移行過程の詳細な観察を行うことができた。これらの結果について論文にまとめ,2003年3月に藻類の専門誌Journal of Phycologyに投稿した。
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