配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2002年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2001年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2000年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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研究概要 |
従来,黒インク薄膜は可視,近赤外領域においても不透明であるため,可視,近赤外光を用いた膜厚及び水分含有量の非接触測定が困難であり,印刷技術発展のボトルネックとなっていた.汎用化されている大型オフセット印刷機でさえも,初期の黒インク量微調整の際には訓練された職人の技術が必要であり,このことが印刷産業における高コスト化の要因の一つになっていた.しかし,テラヘルツ波領域で黒インクが比較的透明であり,さらに顕著な吸収特性を示すため,非接触測定の可能性が模索されはじめている.そこで,前年度までの研究で実現したテラヘルツ電磁波光源を用いたテラヘルツ領域での吸収特性を活用する,黒インク薄膜の膜厚と水分含有量の同時測定システム開発を行った. 光源には,モード同期チタンサファイアレーザー,InAs半導体基板,磁石によって構成されるテラヘルツ波光源を用いた.発生したテラヘルツ電磁波は試料を透過した後,偏光フーリエ干渉分光器を通ってゲルマニウムボロメーターでロックイン検波される.試料はテラヘルツ領域で透明な石英板に挟まれており,試料調合時の膜厚と水分含有量が保持できる構造になっている.試料の水分含有量を0%に固定し,膜厚を変化させた結果,吸収には周波数依存性があり,膜厚が厚い試料ほど高周波での吸収が大きくなることがわかった. また,膜厚を12μmに固定し,水分含有量を0〜20%まで変化させた結果,水分含有量が多くなるに従って吸収は増大しているが,こちらには周波数に依存した吸収は観測されなかった.つまり,膜厚に関する情報は周波数依存性をもつ吸収に,水分含有量に関する情報は周波数依存性をもたない吸収に反映されることになる.これを利用し,テラヘルツ波を用いて,簡単な,非接触のインク膜厚と水分含有量の同時測定を実現した.この系統の測定は様々な分野において潜在的な要請があると考えられるため,今後の発展が期待されている.
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