研究課題/領域番号 |
00J00766
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
代数学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
木本 一史 九州大学, 大学院・数理学研究院, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2002年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2001年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2000年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | ゼータ関数 / 無限次対称群 / 圏の表現論 / 群作用 / ゼータ正規化積 |
研究概要 |
本研究は、「群作用下の周期点・軌道の分布と無限次元群の跡公式の研究」を課題として掲げ、空間上に群作用が与えられたときに、その作用が持つ周期性の情報(たとえば周期点の個数や周期軌道の長さ)に関する数え上げや分布問題を一つの要として、無限次対称群における跡公式(の類似)やゼータ関数などが主な研究対象であった。本年度は、主に以下のような研究を行った。 1 一般化ゼータ正規化積の研究 ゼータ正規化積の概念は、セルバーグゼータ関数のラプラシアンによる正規化行列式表示に見られるように、一般にゼータ関数の行列式表示を研究する上で重要なものである。一方、虚2次体の整数環のring sine function(正規化積で定義される)が本質的にテータ関数を与えることなどを鑑みるとき、より一般に関数の正規化積表示は、関数の零点情報のみならず、関数方程式や変数変換公式の様子が見やすい表示になっているという点で優れている。このような観点から、従来の正規化積を拡張した概念である一般化正規化積について研究した。いくつかの非自明な例を計算し、1次式のq類似の正規化積で定義される関数の標準積表示を与えた(黒川・蘇木・若山との共同研究:論文にまとめた→11を参照)。 2 無限次対称群のセルバーグゼータ関数の研究 無限次元群におけるセルバーグゼータ関数の類似物の構築は、無限次元群の跡公式の模索とも密接に関連した興味深い問題で、本研究の中核をなす問題であった。有限群の帰納極限として定義される群のセルパーグゼータ関数を、有限群のゼータ関数の「極限」として定式化することを考え、そのために有限群の作用に付随するゼータ関数を導入し、研究した。特に、無限次対称群のゼータ関数の対数微分が、合流型超幾何関数を用いて書かれることを示した(学位論文においてまとめた)。 3 圏のラプラシアンとスペクトルゼータ関数の研究 無限次元群を扱うときに、その群自身ではなく、それを「ある対象の上の自己同型群」として含む圏を考えるほうが自然であるというOlshanski-Neretinの「圏論的拡大の原理」に基づいて、無限次対称群のセルバーグゼータ関数を、それに附随して決まる圏を用いて定式化するという立場を取るとき、スペクトルサイドに相当するラプラシアンについて調べることは基本的な問題である。圏が全順序圏というクラスに属する場合に、(有向グラフのラプラシアンの類似として定義される)圏のラプラシアンの正定値性を示した。これは、Kurokawa-Wakayama, Isbellなどによる「圏のCauchy-Schwarz型不等式」を一般化した結果になっている。また、無限次対称群のセルバーグゼータ関数の候補の一つである、圏のラプラシアンのスペクトルゼータ関数がwell-definedであることを示し、その特殊値がBessel関数の特殊値で書けることを示した(論文にまとめた→11参照;学位論文においてまとめた)。
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