研究課題/領域番号 |
00J02646
|
研究種目 |
特別研究員奨励費
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
医薬分子機能学
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
浦上 裕美子 京都大学, 医学研究科, 特別研究員(PD)
|
研究期間 (年度) |
2000 – 2002
|
研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
|
配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
2002年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2001年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2000年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
|
キーワード | 薬物排泄 / 有機カチオントランスポータ / クローニング / スプライシングバリアント / 薬物認識特性 / クレアチニン / GFR |
研究概要 |
腎尿細管に発現する有機カチオントランスポータ(OCT)は、塩基性薬物や不要代謝物の尿細管分泌を担っている。本研究では、hOCT2を中心としたヒト有機カチオントランスポータ群の基質認識特性、並びに腎機能の指標であるクレアチニンの輸送に対するhOCT2の関与について検討した。 ヒト腎cDNAライブラリーから、hOCT2のスプライシングバリアントであるhOCT2-A cDNAの単離に成功した。hOCT2-Aは483個のアミノ酸からなり、hOCT2と81%のアミノ酸相同性を示した。hOCT2-A mRNAは腎に強く発現すること、弱いながらも骨髄、精巣や胎盤などにも発現が認められた。hOCT2及びhOCT2-Aのカチオン性薬物に対する親和性は、hOCT2-AはhOCT2に比べて多くのカチオン性薬物に対し高親和性であることが判明した。以上の結果から、hOCT2-AはhOCT2と異なった薬物認識特性をもつ高親和性の新規有機カチオントランスポータであり、カチオン性薬物腎動態の多様性を担うこと明らかにした。 糸球体濾過量(GFR)は腎機能の重要な指標であり、クレアチニンクリアランス(Ccr)が評価方法として汎用されている。しかし、クレアチニンの腎排泄は糸球体濾過だけでなく尿細管分泌も関与するため、Ccrが実際のGFRより高くなることが指摘されている。尿細管上皮細胞におけるクレアチニンの輸送に有機イオン輸送系の関与が示唆されてきたが、その分子的実体については未解明であった。本研究によって、ヒト腎における側底膜側からのクレアチニン取り込みにhOCT2が関与することを初めて明らかにすることができた。さらに、hOCT2を介したクレアチニン取り込みは、シメチジンやトリメトプリムなど、種々カチオン性薬物によって阻害されることを見出した。これらの結果は、Ccrを用いたGFRの正確な評価方法を確立する上で極めて有用な情報である。
|