研究課題/領域番号 |
00J03422
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
古川 人士 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
2002年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2001年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2000年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 固体ヘリウム3 / U2D2相 / 熱伝導率 / ドメインウォール / 超音波 / 弾性定数 |
研究概要 |
A.個体ヘリウム3のU2D2相は、実験において異方軸の異なる3つのドメインが出来ることが知られている。そして、そのドメイン間にあるドメインウォールのために熱伝導率が極端に小さくなっている、と解釈できる実験結果が報告されている。そのため、前研究の面状磁気欠陥による熱伝導率の計算と同様のモデルを用いて、ドメインウォールによる熱伝導率を理論的に調べた。その結果、(1)マグノンの透過率は、ドメインウォールに対する入射角にかなり大きく依存するが、全体としては比較的透過しやすい。 (2)このモデルでは、温度依存も値の大きさも、一枚の面状磁気欠陥の効果とほとんど変らない。 (3)実際の実験でかかっている磁場の影響を見積もったが、定性的には磁場がない場合の結果とあまり変らない。 という結果を得た。これらから、ドメインウォールの熱伝導率に対する影響はほとんどないと考えられる。この研究を論文にまとめ、また、2003年8月に広島で行われた国際研究会でポスター発表した。 B.固体ヘリウム3のU2D2相は異方軸を持つため、核磁気秩序が起こると弾性定数が立方晶から正方晶になることが予想される。そして超音波を使ってその異方性を測定する実験が行われているが、その実験結果を解析する理論が存在しない。今までの実験は等方モデルを用いて解析しており、そのモデルでは弾性定数の温度変化や絶対値などが定性的に正しい結果を得ている。そこで今回、そのモデルを拡張し、異方性を議論できる理論をつくった。また、等方モデルでは、結晶の変形よりもマグノンの緩和する時間の方がずっと速いとする断熱近似を使っているが、実際の系では必ずしも断熱近似は成立しないのでそこも拡張できるようにした。 まず簡単のため異方性のみを取り入れた理論を調べ、結晶の変形による交換積分変化と弾性定数の異方性の関係をあらわした。そして実験結果と比較して定性的な理解を得た。しかし、結晶の変形による交換積分変化は理論で求められておらず、より詳しい研究が必要である。
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