研究課題/領域番号 |
00J03711
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
生態
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小林 豊 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2002年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2001年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2000年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
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キーワード | SOS信号 / 間接防御 / 数理モデル / 化学生態学 / 空間構造 |
研究概要 |
SOS信号物質の系と、植物間のコミュニケーションの進化に関する本研究の一環として、本年度は以下のような研究・執筆活動を行った。 1.本研究において得られた成果を投稿論文にまとめ、Journal of Theoretical Biologyに投稿したところ、受理された。以下はその概要である。 (概要)特定の植物種においては、植食者に食害を受けたときに、化学シグナルを分泌することで、植食者の天敵を呼び寄せ、自らを防御することが知られている。過去の研究によって、このようなシグナルが、隣接する非食害個体によるシグナル分泌を再帰的に誘導することが知られている。著者は、このような再帰的に誘導されたシグナルは、非食害個体の、将来の危険を回避するための適応戦略であるという仮説をたて、それに基づき、数理モデルを構築、解析し、以下のようなことを明らかにした。すなわち、再帰シグナルは、(1)シグナルのコストが、食害のコストに比べて小さいとき、(2)シグナルの誘因性が、シグナルの局所的な濃度と正の相関があるとき、(3)食害個体の近くにある個体の方が、そうでない個体よりも、将来のリスクが大きいとき、(4)植食者のライフスパンが、植物のそれに比べて短いとき、に進化しやすいことが明らかになった。 2.植食者と天敵が、ともに植物の出すSOSシグナルに対する応答を共進化させる場合のモデルを構築し、解析を開始した。具体的には、植食者は、シグナルを出している植物個体を忌避するか、無視するかを選択でき、また、天敵は、植物の出しているシグナルを利用するか、しないかを選択できるとした。簡単な解析の結果、このような仮定のもとでも、植物のSOSシグナルが進化しうることがわかった。まだ解析は始まったばかりであり、系の詳しい性質は今後の研究で明らかにしていく予定である。
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