研究課題/領域番号 |
00J04394
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
物理化学
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
小原 通昭 慶應義塾大学, 理工学研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
2002年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2001年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2000年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 気相クラスター / 遷移金属原子 / 光電子分光 / 金属内包 / ソフトランディング / 有機金属 |
研究概要 |
本年度は、(1)金属(遷移金属;M)-ケイ素(Si)二成分クラスターの幾何構造及び電子構造に関する知見を得るために、負イオン光電子分光法、高分解能質量分析法を用いて研究を行った。 本研究では、M(=Ti, Hf)棒及びSi棒をそれぞれ独立にレーザー蒸発することによりM-Si_nクラスターを生成した。クラスターの質量スペクトルは、高分解能飛行時間型質量分析装置により測定された。特定のサイズの負イオンクラスターに光電子脱離レーザー(266nm)を照射し、磁気ボトル型電子エネルギー分析器を用いて光電子スペクトルを測定した。またクラスターに対する水(H_2O)の化学吸着実験も併せて行った。 光電子スペクトルの立ち上がりから電子親和力(EA)を求めたところ、η=16でEAが大きく変化していることが分かった。さらにH_2Oに対する反応性では、η=10以下では反応活性であるのに対し、η=10以上では反応不活性であることから、η=10以下のクラスターの幾何構造は金属外接型であり、η=10以上では金属内包型構造(M@Si_n)であることがわかった。特にη=15,16のクラスターは魔法数として質量スペクトル上に観測されることから、これらのクラスターはダングリングボンドを持たない金属内包かご状構造であると推測された。 (2)この金属内包かご状ケイ素クラスターは、クラスターサイズによりHOMO-LUMOギャップが大きく変化すると予想されており、ナノ発光素子の有力な候補として注目されている。この様に気相合成されたクラスターの物性をより詳細に議論するためには、それらを固体表面に固定化させ、様々な物性測定を行う必要がある。本年度は、気相合成されたクラスターを自己組織化単分子膜(SAM)上に固定化するための方法論(ソフトランディング法)の開拓に着手した。本研究では、バナジウム原子とベンゼン分子からなる多層有機金属クラスターの固定化に成功した。これはSAMを構成する分子鎖が多層有機金属クラスターの構造変形を抑制したためと考えられることから、容易に構造変化し、解離・分解するクラスター種を固定化する際に有効に機能すると考えられる。
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