配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2002年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2001年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2000年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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研究概要 |
ATP合成酵素の回転運動等で知られる細胞の運動機構は,ナノスケールの,効率の良いモータである。これまで,この種のモータの運動整流機構が盛んに研究されてきた.研究代表者は,これらの生体分子運動機構の解明から一歩進み,直線偏光により駆動する量子モータ系の設計を目指した.本研究は,キラル分子の内部回転に関するポテンシャル面が非対称になることに着目し,このポテンシャルを赤外領域の直線偏光パルスで揺する全く新しいものである.さらに,分子モータの回転方向を決定における,分子キラリティーと光のヘリシティーが担う役割を明らかにした.分子モータの現実的で単純な例として,アルデヒド基を持つキラル分子(2-chloro-5-methyl-cyclopenta-2,4-dienecarbaldehyde)を例に上げ,このアルデヒド基をモータ分子の回転部に見立て,量子ダイナミクス計算をおこなった.結果は,一分子当たり平均して数^ηの角運動量を持った分子内回転が得られることを示すものであった.この分子モータは,初期熱分布に対して安定なものである.また,モータの回転方向は,分子のキラリティーに対して相対的であることを明らかにした.すなわち,直線偏光レーザーにより誘起される分子モータの回転方向は,分子本体から見たものである.一方,円偏光レーザーにより誘起される分子モータの回転方向は,実験室座標から見たものである.
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