研究課題/領域番号 |
00J06360
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
実験系心理学
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
中村 耕司 千葉大学, 文学部, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
2002年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2001年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2000年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 聴覚神経生理 / 鳴禽類 / ジュウシマツ / 脳の性差 |
研究概要 |
本研究課題の目的は、小鳥をモデルとした時系列情報の聴覚情報処理機構の解明にある。本年度は昨年度得られた電気生理データをもとに、さらにオペラント条件付けを組み合わせた電気生理実験を行った。 ジュウシマツ雌個体の聴覚野周辺部での神経活動1:オペラント課題を経験した個体による電気生理実験 ジュウシマツなど多くの鳴禽類はオスのみが歌をうたい、メスはこれを聴いてオスの資質を判断する。そのため、歌の受け手であるメスには高次の聴覚認知機構が必要であると考えられてるが、その神経処理機構についてはこれまで十分な研究が行われてこなかった。本研究では、歌弁別に関する行動レベルでの証拠を得るため、オペラント課題をメスのジュウシマツに行わせ聴覚経験を統制した上で、それらの課題で経験した歌がメスの聴覚神経系にどのようなに表現されているかを電気生理に手法を用い、神経レベルでの実在を追求した。その結果、8羽のジュウシマツのメス全てにおいて、異なる2羽のオスの歌を弁別でき、さらにこれら雌個体の聴覚野局辺領域(field Lとそこから入力を受けるcHV領域)に聴覚経験のあったオスの歌に対して選択的に反応するニューロン群が形成されていることを電気生理実験により確認した。さらに、オペラント課題では餌による強化が行われたGO刺激の歌と餌がもらえないNOGO刺激の二つの歌を同数聴かせていたのであるが、聴覚野の中でも特にL2b領域とcHV領域においてGO刺激に対してより強く反応する領域のあることがニューロンの発火傾向から証明された。本実験により、雌の聴覚野では聴覚経験のある雄の歌を小鳥の聴覚野の経路の中でも最も求心性の領域にあるこの二つの領域において、神経細胞の応答特性としてコーディングしていることが示された。 ジュウシマツ雌個体の聴覚野周辺部での神経活動2:オスと同居させた個体を用いた電気生理実験 約1ヶ月間にわたり、特定のオス個体と同居させ、聴覚経験を統制したメス個体を用い、上記と同様の聴覚野および周辺部での電気生理実験を行った。その結果、オペラント経験個体のときと同様L2bおよびcHV領域において、同居オスの歌に対して強い選択性反応を示すニューロン群が形成されていることが確かめられた。さらに、この実験ではオスの歌に含まれる音素の時間順序を変えてしまうと、その選択性反応が消失することから、これらの領域において時間組み合わせ選択性ニューロンの形成が確認された。
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