配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2002年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2001年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2000年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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研究概要 |
以下のd-f混合電子系酸化物を対象とした研究を行い、その結晶構造と磁気的性質を明らかにした。 1.これまでの研究結果から、6H型のペロブスカイトBa_3LnRu_2O_9(Ln=ランタノイド)が特異な磁気的性質を示すことを見い出してきた。その挙動の原因を理解するため、Lnイオンとして非磁性のY^<3+>、La^<3+>、Lu^<3+>、及び、磁性の弱いEu^<3+>、Sm^<3+>を持つ化合物を対象とし、この化合物中でのRuイオンの磁気的挙動を解明した。詳細な磁化率・比熱等の測定を行うことで、このシリーズで見られる特徴的な磁化率の挙動(T=135-400Kでのブロードな極大、T<10Kでの磁気異常)が、"Ru^<4.5+>_2O_9ダイマー"という2個のRuO_6八面体が面共有したユニット内で、Ru-Ruイオン間の強い反強磁性的相互作用を反映したものであることが明らかになった。また、Ru^<4.5+>_2O_9ダイマー内の磁気モーメントは完全にはキャンセルされず、低温で少なくともS=1/2のスピンを残す。低温で観測された磁気異常は、このダイマー間の相互作用によるものであることがわかった。 2.6H型のペロブスカイトBa_3LuRu_2O_9における、ランタノイドイオンの磁気的挙動に着目し、大きな磁気モーメントを持つLn=Gd, Ho-Ybを含んだ化合物の磁気的性質に関して研究を行った。磁化率・比熱測定を行い、いずれも低温(4.5-14.8K)で大きな比熱の異常を伴う磁気転移を示すことを発見した。比熱データから、この磁気転移による磁気エントロピー変化を定量的に解析し、Ln^<3+>イオンの反強磁性転移が起こっていることを明らかにした。 3.秩序化ペロブスカイトBa_2LnReO_6 (Ln=Y,Nd,Sm-Lu)の合成と結晶構造、磁気的性質に関する研究を行った。Ba_2LnReO_6 (Ln=Y,Nd,Sm-Lu)の合成に成功し、それらはLn^<3+>とRe^<5+>が交互に規則配列した、単斜晶秩序化ペロブスカイト構造であることを明らかにした。磁化率・比熱の測定結果から、Ba_2LnReO_6 (Ln=Y,Nd,Sm,Gd-Ho,Lu)が約30-100Kで反強磁性転移を示すことを見い出した。 これらの成果の一部に関して、第12回固体の反応性討論会(2001年11月東京)、及び、第41回セラミックス基礎科学討論会(2003年1月鹿児島)等で報告を行った。
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