研究課題/領域番号 |
00J07306
|
研究種目 |
特別研究員奨励費
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
社会学(含社会福祉関係)
|
研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
富山 英彦 法政大学, 社会学部, 特別研究員(PD)
|
研究期間 (年度) |
2000 – 2002
|
研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
|
配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
2002年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2001年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2000年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
|
キーワード | 知識行動 / 情報検索 / 帝国図書館 / 公共図書館 |
研究概要 |
本年度以前のこれまでの研究は、とくに帝国図書館における実証研究の蓄積が不足していることに着目して、新聞記事や『図書館雑誌』を基本資料として、帝国図書館をめぐる事実を把握することに努めてきた。他方で図書館の利用者に関しては、新聞記事にある利用者の手記や菊池寛の随筆などに注目しながら、人々が帝国図書館をどのように感じ、またどのように接してきたかを明らかにしてきた。 それらの事実の把握は、これまで資料の掘り起しが基本的に不足していたことを背景にして、一定の成果を得たものと判断する。そうした研究の成果を踏まえた上で、本年度はとくに、人が図書館を利用するとは何を意味するのかをモデル化し、帝国図書館をめぐる歴史研究を現代のコミュニケーション行動に連結するような視野を開拓し、広く報告することを目標としてきた。その成果は関東社会学会発行の『年報社会学論集』第15号に収録された「知識行動の現代をめぐる歴史社会学的考察-図書館を中心として-」に反映されている。 本論においては、知識検索の構造を、知識の種類を選択する横の地平と、知識の深度を選択する縦の水準に整理し、モデル化した。その視点に基づくなら、戦前期の帝国図書館の検索装置は知識の深度を測定することができない点で、人々の知識行動に限界を強いていた。それに対して戦後の公共図書館は、「サービス」や「情報」の意義を強調する一方で、知識の地平を見渡すことを困難にし、人々の知識の主体化を困難にしている。帝国図書館をめぐる研究から得られた視点はまさに現代の知識行動の問題点を明らかにする、重要な視野を切り拓くものであったと評価することができる。
|