研究課題/領域番号 |
00J07369
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
人文地理学
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
磯田 弦 東京都立大学, 理学研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2002年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2001年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2000年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 労働力移動 / 地域労働市場 / 地域住宅市場 / 相互依存関係 |
研究概要 |
近年のイギリスにおける地域間労働力移動が地域労働市場条件(失業率等)の地域間格差を効率的に解消できていない理由として、労働力の不動性labour immobilityが指摘されている。しかしイギリスの地域間(粗)移動率は決して低くはないため、これは人口移動が地域労働市場シグナルに適切に反応していないものと考えられる。この研究は近年のイギリスの地域間移動の役割を検討した。 1.現状 (1)純移動は自然増加率の高い地域から低い地域へ生じている。これは地域住宅ストックがほぼ一定であるため世帯形成率が高い地域からの流出が生じているのである。世帯形成率はロンドンなど労働市場条件が良好で若い世帯が多い地域で高いため、一見労働市場均衡と逆の移動流が生じている。 (2)人口移動率は住宅の新規建設や住宅価格に著しく影響されることがわかった。したがって、人口移動を説明するには地域労働市場に加え地域住宅市場の検討が必要である。 2.地域間移動が発生する理由 (1)地域住宅市場は人口移動によって影響されることがわかった。人口流入は住宅価格を押し上げ、住宅価格の上昇は人口流出を促す(その逆もまた然り)ため、純移動は生じなくとも粗移動は生じる。 (2)世帯形成率が高い地域は住宅価格が高いため(他の条件一定の場合)人口流出が生じる。 (3)地域労働需要の拡大は人口流入を促すと同時に住宅価格を押し上げてしまうので人口流出がおこり、地域間格差を是正するほどの人口移動は実現しない。 3.地域間移動の役割 (1)住宅ストックが固定的である限り、地域間移動が労働供給を空間的に移転する作用は限られている。 (2)純移動を伴わない地域間移動が労働市場に貢献しうるのは、労働需給の質的ミスマッチを解消することである。 (3)地域住宅価格が人口移動と相互依存するため、選択的移動が生じる。つまり、良好な労働市場では人口流入圧のために住宅価格が高くなり、退職世帯、低賃金労働者、失業者の流出が生じる。 (4)地域間格差を是正すると期待される地域間移動は、その選択性のためにむしろ地域間格差や差異の維持または拡大に貢献していると考えられる。
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