配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2002年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2001年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2000年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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研究概要 |
共焦点型偏光顕微鏡を生物細胞に応用するための基礎実験として細胞膜の配向性の観察を行った。蛍光分子の遷移モーメントはその分子の構造によって決まるある方向を向いている。そのため、その励起確率は励起光の偏光方向に依存する。したがって、蛍光標識した細胞膜からの蛍光が非常に偏光した状態で観察できれば、細胞膜の配向性が高いということやその分子の向きがわかる。さらに、局所領域の流動性や構造のゆらぎなども知ることができる。 今回は、リポソームを蛍光標標識し、その蛍光の偏光からリポソームの分子配向を観察した。リポソームを作製するために用いたリン脂質は、1,2-Distearoyl-sn-Glycero-3-Phosphocholineである。そして、蛍光プローブには、5-butyl-4,4-difluoro-4-bora-3a,4a-diaza-s-indacene-3-nonanoic acid (C4-BODIPY 500/510 C9,Molecluar Probes)を用いた。励起光には、アルゴンイオンレーザー(波長:514.5nm)を用いた。ダイクロイックミラー、色ガラスフィルターにより励起光をカットし、ピンホールを通過した蛍光のみを光電子増倍管を用いて検出した。その結果、共焦点型偏光顕微鏡では、リポソームのリン脂質分子の配向に対応した観察象を得ることができた。しかし、従来の偏光顕微鏡では、対物レンズによる偏光面の回転、焦点面以外からの蛍光(バックグランドノイズ)が大きくリポソームのリン脂質分子の配向を観察することができなかった。 蛍光観察に共焦点型偏光顕微鏡を応用し、従来の偏光顕微鏡に比べ、高コントラストでかつ三次元分解能を有することを示した。DNA-タンパク質、糖-レクチンなどの生体分子間相互作用や生体膜の配向性や流動性、線維束の配向性などに応用できることが分かった。
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