研究課題/領域番号 |
00J07888
|
研究種目 |
特別研究員奨励費
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
細胞生物学
|
研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
山中 智行 横浜市立大学, 医学部・生化学第2, 特別研究員(PD)
|
研究期間 (年度) |
2000 – 2002
|
研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
|
配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2002年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2001年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2000年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
|
キーワード | PAR-6 / aPKC / ASIP / 上皮細胞 / 極性 |
研究概要 |
私は、線虫胚においてaPKC、PAR-3と共に極性形成に機能するPAR-6(PDZタンパク質)の哺乳類ホモログを同定し、その上皮細胞における機能解析を行った。その結果、PAR-6がaPKC、ASIPと3者複合体を形成し、上皮細胞のタイトジャンクション付近に局在化することを見出した。また、極性化した上皮細胞のみならず、細胞間接着に伴う極性形成過程においても、上記3者複合体が細胞間接着部位へ局在化することも明らかとした。さらに、aPKC非結合型のPAR-6変異体を上皮細胞に高発現すると、細胞間接着に伴う、TJタンパク質の局在化、及びTJバリアー機能上昇の阻害が観察された。また、私は、低分子量Gタンパク質であるCdc42がその活性依存的にPAR-6を介してaPKCキナーゼ活性を制御することも明らかとした。以上のことから、PAR-6/aPKC/ASIPという新たなシグナル複合体が同定されると共に、この複合体において、PAR-6はCdc42等を介した細胞間接着のシグナルをaPKCに伝えてそれを活性化し、細胞間接着に伴うTJ形成に働いていることが示唆された。 一方、共同研究者により、アフリカツメガエルの受精卵において、aPKC/ASIP複合体が動物極半球に非対称に局在することが明らかとされた。また、PAR-6も同様の発現パターンを示すことも報告され、カエル胚発生過程における3者複合体の機能の重要性が示唆された。これについて共同研究者と共に検討したところ、aPKC、PAR-6が、動物極半球、即ち予定外胚葉の分化に働いていることを明らかとした。さらに、aPKCのキナーゼ活性と共に、aPKC-PAR-6間の相互作用が、その機能発現に必要であることも明らかとした。以上のことから、脊椎動物の発生過程におけるaPKC/PAR-6複合体の重要性が見出されると共に、aPKCがPAR-6依存的な系路で働いている可能性が示唆された。 以上のことから、PAR-6、aPKC、ASIPは、進化的に保存されたタンパク複合体を形成し、おそらくその一部は共通の分子メカニズムを用いて、多種多様な細胞の機能発現に関与すると考えられる。今後、この複合体を機軸として更に解析してゆくことにより、哺乳類の発生、あるいは、上皮、神経細胞等の分化した細胞においてもその細胞極性制御機構の,一端が明らかになると期待される。
|