研究課題/領域番号 |
00J08260
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
政治学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
正躰 朝香 (坂井 朝香) 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
2002年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2001年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2000年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | EU / 下位国家主体 / 連邦制度 / 多層統治 / ベルギー / 地域委員会 |
研究概要 |
研究のまとめとして、EUにおける下位国家主体の権限や地位に関する先行研究について収集した関係書籍、資料の分析を行ない、それをもとにEUの統合プロセスの中で下位国家主体の権限拡大の動きについて検証した。具体的には、欧州統合の過程において下位国家主体がどのように位置づけられてきたのかについて、EU加盟国の中でも連邦制度を採用し、下位国家主体の権限拡大に向けて、積極的関与を行ってきたベルギーやドイツの事例を中心に検討した。これらのケースを通じて、連邦制を採る分権度の高い加盟国とそこに所属する下位国家主体が、統合が進む中で、自らの権限を確保するために、EUレベルにおいても働きかけてきたことが明らかになった。 また下位国家主体の政治的プレゼンスの向上について考える際、1994年に設置されたEUの地域委員会の存在意義は非常に大きい。EU加盟国における政治制度の分権度は多様であるが、下位国家主体のEUでの政策決定へのチャンネルが確保されたという意味において画期的であった。地域委員会の実効的パワーについては依然強いとはいえないが、欧州統合における第三レベルへの眼差しは確固たるものになったといえる。 超国家的な欧州委員会、国家レベルの代表からなる閣僚理事会、下位国家主体の代表からなる地域委員会という、複数レベルの統治機構が相互に作用を及ぼしながら機能する場面がしばしば認められるようになった。EUとして複数のレベルに権限を分散する連邦主義的な統合へと進むことで、各加盟国内の分権傾向も強まるというかたちでの強い相互補完関係が見出される。いわゆる「多層統治」と言われる国際政治における新しい統治システムの典型的な事例として捉えることができる。さらにEUレベルでの地位の上昇が国内での発言力の強化にも繋がり、相互に関わりながら下位国家主体の権限の強化へと向かってきたことも事実である。すなわち、加盟国内での分権化とEUレベルでの分権化という二つの動きが相乗効果としてみられ、下位国家主体の権限は強化される方向で推移していると考えられ、今後の欧州統合の重要な方向性を示していると言える。
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