研究課題/領域番号 |
00J09594
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
伊藤 哲明 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
2002年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2001年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2000年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 有機導体 / 擬1次元強相関電子系 / ウィーグナー結晶 / 高圧下測定 / 磁気共鳴 / 輸送特性 |
研究概要 |
(DI-DCNQI)_2Agは210K以下でウィーグナー結晶的電荷秩序を形成している擬1次元有機導体であり、電気抵抗率は室温以下で絶縁体であることが知られている。 去年までの研究により、この系は加圧すると分子間の移動積分が増大し、高温で金属的な振舞いが現れることが明らかとなっていた。最大到達圧19.2kbarまでの圧力ではいずれも低温で絶縁体化するが、10kbarの圧力下のNMR測定により、この絶縁体相は常圧と同様の電荷秩序相であることが確認されていた。 今年は、以下の2点の研究を行うことにより、この系の圧力下電子状態相図を完成させ、電子状態の系統的理解を得た。 1 15kbar、並びに比較対象として常圧下、のNMR測定を行い絶縁相の特性の変化を調べた。 その結果、絶縁相は高圧領域まで常圧と同タイプの電荷秩序相であることが確認された。ただしその電荷の濃淡比は圧力に大きく依存し、加圧に伴い濃淡差が小さくなることが見出された。 またどの圧力でもNMR測定から求めた電荷秩序形成温度は、電気抵抗の極小温度より低い。このことは電荷秩序が形成される温度より高温でも電荷秩序の強い揺らぎが発達しており、そのため抵抗が絶縁体的になっていることを示している。この電荷秩序形成と抵抗極小の温度差、即ち電荷秩序揺らぎ領域は、常圧でもっとも顕著であり加圧に伴い小さくなっていく。このことは加圧による系の次元性の増大によるものと理解される。 2 近年開発された高耐圧圧力セルを用いることで20kbar以上の超高圧下電気抵抗率を測定した。電荷秩序形成温度は、加圧に伴い連続的に減少し、最終的に21kbar以上で完全に抑制され低温まで金属的な振舞いが実現することが明らかとなった。電荷秩序形成は2次転移的であり、21kbar付近において量子臨界点が存在すると考えられる。
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