研究課題/領域番号 |
00J10638
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
分子生物学
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
松浦 俊一 豊橋技術科学大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2002年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2001年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2000年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | DNA / DNA1分子マニピュレーション / DNA-酵素間相互作用 / 蛍光顕微鏡 / DNAポリメラーゼβ / 蛍光標識 / 疎水性ガラス基板 / 直流電界 |
研究概要 |
●固定化DNA形態制御技術のDNAポリメラーゼ動態解析への応用 本研究では、これまでに開発した技術のうち、(1)疎水性ガラス基板へのDNA分子の片端固定、(2)直流電場によるDNAの形態制御、また(3)酵素活性を保持できる酵素分子の蛍光標識法を真核細胞のDNAポリメラーゼβの動態解析に応用した。DNAポリメラーゼβの蛍光標識では、DNAと複合体を形成した状態で酵素表面のアミノ基に蛍光物質を結合させることによって、酵素活性を保持したまま標識産物を回収することに成功した。蛍光標識DNAポリメラーゼβの比活性が標識前のDNAポリメラーゼに比べて増大したことは、標識過程においてDNA結合活性を有しているDNAポリメラーゼのみが選択的に回収できていることを示唆している。また、標識産物をSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動で解析した結果、標識前のDNAポリメラーゼβと比較してバンドがシフトアップしたことからDNAポリメラーゼβに蛍光物質が共有結合していることが示された。顕微鏡視野内においてガラス基板に静電的に伸張固定した2本鎖DNAにdNTPとマグネシウムイオンが存在しない条件で蛍光標識DNAポリメラーゼβを作用させたところ、DNA上に結合する様子がみられ、またDNA鎖に沿って直線的にスライディング運動する様子も観察された。次に特定の位置にニックを挿入した2本鎖DNAを用いたところ、DNAポリメラーゼβはニック部分に優先して結合した。また、疎水性ガラス表面に片端固定したあと直流電場によって伸張させたDNAに相互作用するDNAポリメラーゼβの挙動を観測することを試みた。DNaseIによってランダムにニックやギャップを入れたDNAを用いた場合にDNAポリメラーゼβは電界中で伸張するDNAに結合し、20V/cmの直流電界中で遊離することなくDNAに結合した状態を保持した。 本研究により開発された疎水性ガラス基板へのDNAの固定化法は、ガラス表面へのDNA分子の非特異的吸着を抑制できるために顕微鏡下でのDNA-酵素間相互作用の解析に有用であると考えられる。また、直流電場によるDNAの形態制御およびDNA結合性酵素の蛍光標識法は、DNAに相互作用する様々なタンパク質(酵素)の動態解析に大きく寄与するものと期待される。
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