研究課題/領域番号 |
00J61001
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
消化器内科学
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
鈴木 拓 札幌医科大学, 医学部, 特別研究員PD
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研究期間 (年度) |
2000 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
2002年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2001年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 大腸癌 / DNAメチル化 / マイクロアレイ / DAC / TSA / SFRP1 |
研究概要 |
これまで大腸癌、胃癌、乳癌、肺癌、白血病など、様々な悪性新生物疾患において、癌抑制遺伝子の高メチル化による不活化が報告されている。我々はマイクロアレイ法を用いて、脱メチル化剤5-aza-2' deoxycytidine(以下DAC)とヒストン脱アセチル化阻害剤Trichostatin A(以下TSA)の組み合わせがヒト大腸癌細胞に及ぼす影響を解析し、高メチル化により不活化されている遺伝子を網羅的に解析した。これまでに低濃度DACおよびTSAの組み合わせ処理により発現上昇する遺伝子を約70個同定し、RT-PCR法で薬剤処理による発現の変化を確認した。この結果、これらの遺伝子群は、その発現パターンから2通りに分類できることが分かった。低濃度DAC処理単独にて弱い発現上昇が見られ、DAC+TSA処理にてさらに発現上昇するが、TSA単独処理では発現に変化を認めないgroup 1と、TSA単独処理によって発現誘導されうるgroup 2である。Group 1遺伝子群の発現回復パターンは、既知のメチル化遺伝子と類似することから、高メチル化がそれら遺伝子の不活化に関与すると推測される。事実、我々は、group 1遺伝子上流のCpG islandをデータベース検索から同定し、その高メチル化を確認している。これに対し、group 2遺伝子群は、我々の上流にCpG islandを有しても、メチル化が認められず、TSAによる発現上昇は従来知られている高メチル化とは別なメカニズムと考えられる。Group 1遺伝子群の中には、染色体部位やこれまで報告されている機能から、新たなtumor suppressorである可能性の考えられるものが複数含まれている。中でも、分泌型frizzled関連蛋白1型(SFRP1)は、大腸癌の癌化に重要なWNT経路を抑制する働きを有しており、機能解析の結果、SFRP1のメチル化による不活化は癌抑制遺伝子APCや、癌遺伝子β-cateninの突然変異と並び、大腸発癌において重要な役割を果たしていることを突き止め、現在さらに解析を進めている。
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