研究課題/領域番号 |
01010016
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研究種目 |
がん特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
松沢 昭雄 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (50012745)
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研究分担者 |
及川 勉 都臨床医学総合研究所, 主任研究員 (40120141)
村上 昭 京都大学, ウイスル研究所, 助手 (50127148)
螺良 愛郎 関西医科大学, 助教授 (90098137)
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
7,200千円 (直接経費: 7,200千円)
1989年度: 7,200千円 (直接経費: 7,200千円)
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キーワード | 乳癌の進展 / 転移能 / intー2遺伝子 / hst遺伝子 / ケラチン / IV型コラーゲン / IV型コラケーナーゼ |
研究概要 |
DDDマウスの自然発生乳癌から樹立した可移植性妊娠依存性乳癌(TPDMTー4)は現在80代に達するが、安定したホルモン依存性を維持している。この乳癌の進展条件を解明し、その結果得られた4株の自律性亜株を実験材料として、遺伝子、細胞、組織レベルでの進展機構の解明を続けた。遺伝子レベルでは、その機構を完全には明らかにできていないが、MTVのDNA内組込みによるintー2遺伝子の活性化でTPDMTー4乳癌が誘発され、MTVーLTR部分のorf遺伝子の発現が転移性癌への進展を抑制していることが証明された。さらに、23種類のオンコジーンの発現のスクリーニングで、転移能獲得に特異的にhstが発現され、hstが悪性癌への進展で重要な役割を果していることが判明した。マウスでもヒトでもintー2とhst遺伝子が同じ染色体の近傍に存在することを考えると非常に重要な知見である。細胞レベルでは、生体内により近いコラーゲンマトリックス内培養により、転移能をもたない亜株はTPDMTー4乳癌と同じ態度を示し、乳管状構造を形成したが、転移能を獲得すると団塊状に増殖した。またTPDMTー4細胞が非転移性細胞の増殖を抑え、転移性細胞の増殖に有利に作用することを示唆する証拠を得ている。転移能と特異的に関係ある染色体変化は確認できなかった。組織レベルでは、転移性亜株ではある種のケラチンが免疫組織化学的方法で証明できず、ケラチン合成能が1つの転移の指標となり得ることが示唆された。また、基底膜を構成するIV型コラーゲン量が進展と伴にに減少したが、他の実験系で報告されているように、IV型コラーゲン分解酵素活性が転移能獲得と伴に特異的に上昇することは認められなかった。TPDMTー4とその亜株は進展機構解明の有用なモデルであることが証明されたので、これを応用して、発現されている遺伝子産物の進展に於ける役割、癌抑制遺伝子の役割の追究も進めたい。
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