研究課題/領域番号 |
01010067
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研究種目 |
がん特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 国立遺伝学研究所 |
研究代表者 |
瀬野 悍二 国立遺伝学研究所, 分子遺伝研究系, 教授 (30076989)
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研究分担者 |
石田 良司 愛知県がんセンター研究所, 主任研究員 (50150214)
安藤 俊夫 愛知県がんセンター研究所, 部長 (20012693)
綿矢 有佑 岡山大学, 薬学部, 助教授 (90127598)
安田 秀世 金沢大学, 薬学部, 助教授 (40111554)
辻 秀雄 放射線医学総合研究所, 遺伝研究部, 主任研究官 (40163795)
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研究期間 (年度) |
1988 – 1990
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
15,900千円 (直接経費: 15,900千円)
1989年度: 15,900千円 (直接経費: 15,900千円)
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キーワード | 温度感受性変異 / 染色体異常 / H1ヒストン / 蛋白質のリン酸化 / 蛋白質の脱リン酸化 / 染色体凝縮 / チミジル酸ストレス / 細胞周期 |
研究概要 |
細胞周期において染色体の不安定化が起こる機構として、S期における複製がらみのものが考えられる外、M期における染色体分配の異常も見逃せない。特に、最近の劣性変異による発がんが対立遺伝子の喪失(loss of heterozygosity)によることが明らかにされつつあるが、その機序はまさに染色体分配の異常である。本研究における染色体安定保持に関するCHO細胞温度感受性変異株の解析結果は、予期したように染色体異常を好発する変異株のうちのほとんどの相補性群がS期に停止点をもち、DNA合成能の低下を示した。 また、染色体が分配された後の脱凝縮が異常になった温度感受性変異株の解析から、蛋白質のリン酸化と脱リン酸反応がM期の進行に重要な役割を担っていることが強く示された。他方、G2期に停止する温度感受性変異株の解析から、ヒストンH1のリン酸化がG2/M期における染色体の凝縮に必須であること、また、ヒストンH1リン酸化酵素がcdcー2遺伝子の産物であることが確認された。また、本変異株にヒト由来cdcー2 cDNAを導入すると予期通り正常表現型に戻った。 チミジル酸ストレスは染色体DNAを特異的な長さ(50ー100kb)に切断し、その際、誘導性のエンドヌクレアーゼがその切断に関与することがすでに示されている。今回、DNA断片の末端塩基分析を行い、切断がA+Tに富む領域で特異的に起こることが示唆された。また、切断はS期の前半で複製を完了する染色体領域、後半に入ってはじめて複製する染色体領域のいずれにおいても均等に起こることが細胞のエリトリエータ遠心によって示された。他方、切断に関与すると考えられる誘導性エンドヌクレアーゼも部分的に精製され、マグネシウムを要求するものと要求しないものが複数種存在することが示された。より詳細な性質の解明が待たれる。
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